革新的な美を創出し、「琳派の祖」と呼ばれる本阿弥光悦について9人の研究者が論考する。編者は、光悦について「曲線、対称、韻律、動勢、装飾といった特質をもっていた。つまり感覚的であった。これこそがバロックなのである」と分析。「桃山芸術とはバロック芸術であった」と位置づけることで、絵画史の理解を深めようと試みる。
光悦と同時代人との関わり、京都・鷹峰に光悦によって開かれた「光悦村」の考察、光悦を中心とした文化サロン、これまであまり触れられていない能との関わりなど、多角的に光悦の実像に迫る。(宮帯出版社・4500円+税)
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2015年12月6日 掲載
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