女優の杏 90年前の詩人の抒情的な紀行文に感動「本の隙間から熱風が出てくるよう」

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 4月17日のJ-WAVEの番組「BOOK BAR」で女優の杏さん(30)が『マレー蘭印紀行』金子光晴[著](中央公論新社)を紹介。エキゾチックでトロピカルな音楽を流しながら、美しく抒情的な文章から漂ってくる90年前の南洋に思いをはせた。

■本の隙間から熱風が

『マレー蘭印紀行』は詩人の金子光晴が書いた紀行文。金子は夫人とともに昭和3年から7年にかけて中国、ヨーロッパ、南洋を放浪した。その南洋地方、マレー半島、ジャワ、スマトラなどの旅を記したものだ。杏さんは「日記や紀行文を自分で書いていて思うけど」と前置きし、「これがあった、誰と会った、何をしゃべった、などと手のひらで物事を捉えようとする。金子さんの書かれる文章は抒情的で景色を手のひらではなく、手の甲でさっとなぞるよう」と話し、90年近く前の南洋の風景、自動車もあまり走っておらず、電気もほとんど通っていない、空調もほとんどなく、自然のままの今はなき風景が、「熱風とともに本の隙間からぶわっと出てくるよう」だったと臨場感たっぷりに語った。

■詩人ならではの文章の魅力

 杏さんは同書のなかから「晴れているのに、なにか蝕まれているような天の暗さ」との一文をとりあげ「表現が真似できない。短く濃い。読むとタイムスリップしたような気分。強烈に魅力的」と評した。ナビゲーターの大倉眞一郎さんも「独特の熱帯感がある。自分が書いたものを読むと恥ずかしくなるくらい濃い」と同書の魅力を語った。同書についてネット上では「百回読んでも読み飽きない」「旅のお供に最高」「美しい日本語の奔流」との評が並んでいる。

■精神科医だって不安

 その日大倉さんは父親が精神科医だったと明かし「みんな不安だ、精神科医だって不安だ」と『鬱屈精神科医、占いにすがる』春日武彦[著](太田出版)を紹介した。ゲストは2月にリリースしたアルバム「TOKYO BLACK HOLE」が話題のシンガーソングライターの大森靖子さん(28)。「なにかを失って気づかせてくれた本」として『「だから、生きる。」』つんく♂[著](新潮社)を紹介した。また八重洲ブックセンター本店の販売課リーダー平井真美さんが『うそつき、うそつき』清水杜氏彦[著](早川書房)を紹介した。

 「BOOK BAR」はJ-WAVEにて毎週日曜0時(土曜深夜)から放送中。(http://www.j-wave.co.jp/original/bookbar/

Book Bang編集部
2016年4月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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