直木賞作家 西加奈子「世界で起こっている事に対して罪悪感がある」ニュースを見たくなかった理由を明かす

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 12月3日放送のTBS「王様のブランチ」のブックコーナーに小説家の西加奈子さん(39)が出演した。最新作『i』(ポプラ社)が取り上げられ、直木賞作家がこれまで抱えてきた「罪悪感」について語った。

■直木賞作家がどうしても描きたかった小説

『i』は西さんが現代に挑んだ最新作。主人公「アイ」が「私(i)」とは何か、「愛(i)」するとは何かを模索しながら歩んでゆく物語。シリアで生まれたアイは養子として引き取られた日本で、安全で裕福な暮らしを送っていた。自分が生まれた国では今でも戦争が続いているのに、自分は安全な環境の下で暮らしている。養子として選ばれた自分がいるということは「選ばれなかった誰か」がいるということ。「どうして自分だったのだろう。どうして」と自問するアイ。

そんなやりきれない思いを抱えたアイは、世界中で起こるテロや戦争、天災で亡くなった人の数をノートに記すようになった。罪悪感と不安にさいなまれるアイだったが、友人や周囲の人に恵まれ、感謝や優しさや強さを育み成長してゆく。世界にアイ(愛)はあると叫び続ける直木賞作家が「どうしても描きたかった」(ポプラ社ウェブサイトより)という小説だ。

■西さんの溢れる思い

 番組に登場した西さんもアイと同じように「罪悪感があるんですよね、世界で起こっていることに対して」と語る。「無関係だとは思えないのに、毎日無関係のように生きている。知らないことが罪悪なんじゃないかと思う」と語り、作家になるまではニュースをみたくなかったと明かす。

「ニュースを見るといまの自分がどれだけの犠牲の上に成り立っているか、知っちゃうと苦しくなっちゃう。作家になったからには見ないとと思って、少なくとも知っているということで罪悪感から逃れるということをしてきた」と世界の現実を受け入れることの辛さを語った。

 そして本作は「溢れるままにブワーっと書きました」と執筆時のテンションを明かし、「急に人への感謝が浮かんで、友達とかへメールして『いつもありがとう』とか」と友人に不審がられたというエピソードを話した。

■心に抱えていたものを明かした一作

 番組解説者で早稲田大学文学学術院准教授の市川真人さんは同作を「魂の叫び」と評し、「直木賞をとってメジャーになったとき、初めて自分の心に抱えていたものを、もしかしたらお話としては面白くならないかもしれないけれど、書こうという決意が届いてきました」と解説した。

王様のブランチ」はTBSにて毎週土曜日9:30から放送中。

BookBang編集部

Book Bang編集部
2016年12月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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