いま読むべきビジネス書はこれだ! ビジネス書大賞2017に『サピエンス全史』

文学賞・賞

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「ビジネス書大賞2017」が5月25日発表され、『サピエンス全史』ユヴァル・ノア・ハラリ[著](河出書房新社)が大賞を受賞した。

 準大賞は『LIFE SHIFT』リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット[著](東洋経済新報社)。審査員特別賞は第1回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞も受賞した『小倉昌男 祈りと経営』森健[著](小学館)。読者賞は『やり抜く力 GRIT』アンジェラ・ダックワース[著](ダイヤモンド社)が受賞した。

 大賞を受賞した『サピエンス全史』は2011年にヘブライ語で出版され、2014年に英語に翻訳された。FacebookのCEO・マーク・ザッカーバーグ氏が同書を紹介したことにより世界的に有名になった。現在は世界48カ国で出版され、200万部を超えるベストセラーとなっている。

 日本語版は上下巻で計600ページ超の大作ながら、多くのメディアで注目を集め、累計発行部数は37万部となっている。

 著者のユヴァル・ノア・ハラリ氏は1976年2月24日イスラエル生まれ。現在はヘブライ大学歴史学部の終身雇用教授。

 審査員コメントは以下の通り。
〈混沌とした時代の中で、若いビジネスパーソンは悩み、迷っている。そうした時に「昔の人はどうだったんだろうか、何を悩んだんだろうか」と人間の歴史を知ることが勇気になるし、判断基準を作ってくれる。ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』やジャック・アタリ『21世紀の歴史』などに匹敵する名著として、今後読まれ続ける1冊になるのではないか〉(ビジネス書大賞2017ウェブサイトより)

 社会学者の大澤真幸氏は《人類は、サピエンスは、いかにしてかくも繁栄したのか。本書は、ひとりの歴史学者が、この問題に与えた回答である》(ケトルvol.34・太田出版)と評している。
https://www.bookbang.jp/review/article/529812

 準大賞を受賞した『LIFE SHIFT』は2013年ビジネス書大賞を受賞した『ワーク・シフト』の著者である、リンダ・グラットン氏の新著(アンドリュー・スコット氏との共著)だ。審査員コメントは以下の通り。
〈日本企業の雇用には「女性の登用」「定年制」など課題は多い。女性は、出産などで登用が遅れたり、年齢にこだわらない登用を標榜しながら60歳で定年退職を迎えることになる。こうした課題をどう打破するかのヒントを日本の経営者に与えている〉(ビジネス書大賞2017ウェブサイトより)

 審査員特別賞は森健氏の『小倉昌男 祈りと経営』が受賞した。先日発表された第1回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞にも輝いている。昨今話題となっている宅急便システムを生み出したヤマト運輸の元社長、小倉昌男の人物像に迫ったノンフィクションだ。

 ニュースサイト「シノドス」編集長で評論家の荻上チキ氏は、《小倉が「困っているひと」に寄り添うようになったのは、それが自身の問題であったためではないか。大きな正義のためでなく、身近な困りごとのために、闘わざるを得なかったひと――。そう捉えると、途端に小倉の姿が身近に感じられてくる》(朝日新聞・書評欄)と評している。( https://www.bookbang.jp/review/article/508908

 今年で7回目を迎える同賞は、1年間を代表するビジネス書を選出し、表彰する、日本初のビジネス書専門アワード。「ビジネス書のプレゼンスをさらに大きなものとすることで、出版業界の活性化に貢献するとともに、日本のビジネスパーソンの成長、ひいては日本の産業界の発展に貢献する」ことを目的に、2009年10月に創設された。ジャンルや体裁を問わず、1年間に発売された書籍を対象としている。選考は、経営者、書店員、書評家、出版社、マスコミの代表と一般読者の投票によって第1位を決定する。(http://biztai.jp/

 候補作品は以下のとおり。50音順

『いま世界の哲学者が考えていること』岡本裕一朗[著](ダイヤモンド社)
『小倉昌男 祈りと経営』森健[著](小学館)
『鬼速 PDCA』冨田和成[著](クロスメディア・パブリッシング)
『「言葉にできる」は武器になる。』梅田悟司[著](日本経済新聞出版社)
『サピエンス全史(上・下)』ユヴァル・ノア・ハラリ[著](河出書房新社)
『職場の問題地図』沢渡あまね[著](技術評論社)
『生産性』伊賀泰代[著](ダイヤモンド社)
『デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論』デービッド・アトキンソン[著](東洋経済新報社)
『やり抜く力 GRIT』アンジェラ・ダックワース[著](ダイヤモンド社)
『LIFE SHIFT』リンダ・グラットン/アンドリュー・スコット[著](東洋経済新報社)

Book Bang編集部
2017年5月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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