「なんて素敵(すてき)にジャパネスク」シリーズなど、少女小説で人気のあった作家、氷室冴子さんが51歳でこの世を去って10年。出身地の北海道岩見沢市で氷室冴子青春文学賞が創設され、小説投稿サイトの「エブリスタ」で募集が始まった。
この文学賞は、氷室さんが手がけたような若い魂を揺さぶる小説を発掘し、物語の可能性を広げていくことを目指すもので、地元の有志が設立した氷室冴子青春文学賞実行委員会が主催する。「青春」の要素を含んだ小説で、文字数は2万~6万文字(400字詰め原稿用紙50~150枚)。年齢、性別、職業、国籍は問わない。応募期間は3月15日までで、映画・演劇プロデューサーの伊藤亜由美さん、小説家の久美沙織さん、辻村深月さんが審査員を務め、7月前半に大賞1作品、準大賞1作品が決定する予定。授賞式は同13日に岩見沢市で開催される。
ユニークなのは、応募はすべてエブリスタ上で行うこと。通常のエブリスタ投稿機能のほか、今回はワードでの投稿も可能だが、郵送などでは受け付けない。エブリスタ(本社・東京都渋谷区)によると、「今まさに書いている小説を応募したい」とツイッターに書き込むなど、楽しみにしている人は多い。
「多くの若者の支持を受けている電子出版、電子書籍と連携していくことがこれまでにない文学賞になると期待し、エブリスタと提携することになった」という実行委員会では、東京などの大都市に集中してきた先端文化を地方都市からも行いうる可能性を見せることができるのではないかと感じているという。
エブリスタでこの文学賞を担当する千葉佳織さんは「これをきっかけに、多くの人にエブリスタのことを知っていただきたい。その一方で、氷室さんを知らない人が彼女の小説に触れる機会になればと思う。この賞を成功させることで、より多くの投稿につながればうれしいですね」と話している。(藤井克郎)
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