吉川英治賞が決定 帚木蓬生や有栖川有栖、佐藤究が受賞

文学賞・賞

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 吉川英治賞が3月1日(木)に発表され、第52回吉川英治文学賞に帚木蓬生さんの『守教』(新潮社)が選ばれた。また、第39回同新人賞に佐藤究さんの『Ank: a mirroring ape』(講談社)、第3回吉川英治文庫賞は有栖川有栖さんの「火村英生」シリーズ(角川文庫・幻冬舎文庫など)が選ばれた。

 吉川英治文学賞を受賞した『守教』は、隠れキリシタンたちを主人公にした歴史小説。史実をもとに、日本でキリスト教を信仰した人々の過酷な状況や残酷な処刑、心の迷いなどを描く。

 著者の帚木さんは、新潮社発行のPR誌「波」(2017年10月号)に掲載されたインタビューで、「ふつうの生活を送っとる百姓や庄屋たちが、キリスト教にどげんして出会い、受け入れ、それによって日常がどげんかわったのか。私は、今まであまり取り上げられてこなかったその部分ば、しっかりと書いておきたかったとです」と語り、執筆の動機や創作の舞台裏を明かしている。(https://www.bookbang.jp/review/article/538913

 吉川英治文学新人賞を受賞した『Ank: a mirroring ape』は、AI研究から転身した世界的天才ダニエル・キュイが創設した霊長類研究施設「京都ムーンウォッチャーズ・プロジェクト」でセンター長を務める鈴木望が、2026年に京都で多数の死者を出した暴動の発端となった一頭の類人猿「アンク(鏡)」の謎に迫るパニックスリラー。今年1月に第20回大藪春彦賞を受賞している。

 書評家の村上貴史さんは、本作について「様々な視点の様々なテキストによるパッチワークというスタイルを採りつつ、主人公像は明確で、彼の熱意や苦悩がしっかり描き出されている」と筆力の高さを評価すると共に、同作の謎解きの壮大さについて「ロジックが刺激に富み、かつロジックを超越した“なにか”の存在も感じさせる」(小説新潮・書評欄)と評している。(https://www.bookbang.jp/review/article/538594

 吉川英治文庫賞を受賞した「火村英生」シリーズは、犯罪学者・火村英生と推理作家・有栖川有栖が事件を解決していく推理小説。1992年に発表された『46番目の密室』(講談社)から始まり、2017年発表の『狩人の悪夢』(KADOKAWA)まで続いているシリーズ作品で、1989年から続く「学生アリス」シリーズとは、互いにパラレルな世界になっている。2016年には斎藤工、窪田正孝主演でテレビドラマ化されている。

 贈賞式は4月11日(水)に東京都内で行われ、受賞者には賞牌と賞金が贈られる。

 吉川英治賞は、1962年から続く大衆小説を対象にした文学賞。新聞、雑誌、単行本等に最も優秀な小説、評論、その他を発表した作家を対象にした吉川英治文学賞や最も将来性のある新人作家を対象とした吉川英治文学新人賞、5巻以上の複数巻で文庫を刊行しているシリーズ作品を対象とした吉川英治文庫賞の三賞が設けられている。

Book Bang編集部
2018年3月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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