2017年度日本芸術院賞が発表 比較文学者の芳賀徹さんが表彰

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 日本芸術院は22日、優れた芸術活動を表彰する2017年度日本芸術院賞を比較文学者の芳賀徹さん(86)、日本画家の田渕俊夫さん(76)、歌舞伎俳優の中村扇雀(本名・林浩太郎)さん(57)ら8人に贈ると発表した。

 芳賀さんは、1931年山形市生まれ。東京大学教養学部教養学科を卒業後、同大学大学院で比較文化研究を専攻する。1977年に東京大学教授に就任後、1981年に『平賀源内』でサントリー学芸賞を受賞する。1983年に比較文学比較文化研究室主任教授となり、1984年に『絵画の領分』で大佛次郎賞を受賞。国際日本文化研究センター教授や京都造形芸術大学学長、岡崎市美術博物館、静岡県立美術館の館長などを経て、国際日本文化研究センター名誉教授、東京大学名誉教授となる。2011年には『藝術の国日本 画文交響』で蓮如賞を受賞している。著書に『大君の使節』『渡辺崋山・優しい旅びと』『明治維新と日本人』『みだれ髪の系譜』などがある。

 受賞の対象となった評論『文明としての徳川日本』は、1603年から1853年の間に、日本列島という限定された空間のなかで生まれた独特な文化的風景を、美術や詩歌から博物学などの作品群を取り上げながら考察した一冊。

 授賞式は6月18日に日本芸術院会館(東京)で開かれ、恩賜賞には賜品が、日本芸術院賞には賞状、賞牌、賞金が贈られる。

 日本芸術院賞は、卓越した芸術作品と認められるものを制作した者及び芸術の進歩に貢献する顕著な業績があると認められる者に対して、毎年、恩賜賞と日本芸術院賞を授与される。昭和16年から戦中、戦後の一時期を除いて毎年授与しており、平成29年度において第74回を迎える。

 日本芸術院賞の受賞者と受賞対象は次の通り(敬称略)。

第1部(美術)
田渕俊夫(76)。恩賜賞。日本画。院展出品作「渦潮」。東京都生まれ。
湯山俊久(62)。洋画。日展出品作「l’Aube(夜明け)」。静岡県生まれ。
三田村有純(68)。工芸。日展出品作「月の光 その先に」。東京都生まれ。
土橋靖子(61)=本名・呉靖子。書。日展出品作「かつしかの里」。千葉県生まれ。

第2部(文芸)
芳賀徹(86)。恩賜賞。評論・翻訳。「文明としての徳川日本 一六〇三-一八五三年」。山形県生まれ。

第3部(音楽・演劇・舞踊)
中村扇雀(57)=本名・林浩太郎。歌舞伎。「新口村」の傾城梅川などの演技。東京都生まれ。
鶴沢清介(65)=本名・田中良和。恩賜賞。文楽。長年の舞台実績、子どものための新作文楽の作曲。大阪府生まれ。
花柳寿楽(51)=本名・青山典裕。舞踊。「一人の乱」「関の扉」「高野物狂」での演技。東京都生まれ。

Book Bang編集部
2018年3月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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