【手帖】戦後派作家の“幻の随筆”を掲載

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 発売中の文芸誌『早稲田文学』2018年春号(早稲田文学会発行・筑摩書房発売、1800円+税、写真)が、『ひかりごけ』などで知られる作家、武田泰淳(1912~76年)の日本未発表随筆を掲載している。

 この随筆は「城隍廟附近」。戦時下の上海で発行され、最近研究者によって“発掘”された日本語雑誌『大陸』創刊号(44年刊)に収められていた。商家や店舗が立ち並ぶ上海旧市街の風景と、泰淳自身の心の揺れがつづられている。

 調査にあたった北京日本学研究センターの秦剛さんは、この特集に寄せた文章で〈後に戦後派作家に成長していく武田泰淳の上海体験を通じた精神変容がスケッチされているかのよう〉などと読み解いている。

 このほか、300ページ超を割いて、デビュー50年を迎えた作家、金井美恵子さんを特集。創作の秘密に迫るロングインタビューや、著作の全表紙をカラーで紹介する綴じ込み目録などを収めており、多角的な視点から作家の歩みと今後に光を当てている。

産経新聞
2018年4月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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