あいみょんもファンだった! 無名会社員の小説が異例の大ヒットとなった理由

ニュース

0
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 燃え殻著『ボクたちはみんな大人になれなかった』が「本好きのみんなで決める本当に面白い本 第6回ブクログ大賞フリー部門」を受賞した。刊行時期やジャンルにかかわらず、誰かに薦めたい本に投票してもらった結果選ばれた、第一位だ。
 投票した人たちからは「心の隙間を埋めるために、刹那的に誰かと関わりながらも、そのときの記憶がどこかにずっと沈んでいる感覚がとてもリアル。読みながら昔つきあっていた人のことを思い出しました」(枯れない泉さん)、「夢を見ているみたいだった。全体が無声映画のように、静かにうつくしく流れていくのに、そこで生まれる感情や感覚はやけに生々しく迫ってくる」(canocoさん)など、共感の声が寄せられている。

 まさに「読者」の共感によって育まれてきた作品なのだ。
 著者は都内の会社員である燃え殻。無名の会社員だった彼のツイッターでの日々のつぶやきが「エモい」と話題となり、ウェブサイト「cakes」で小説の連載を始めた。「フォロワー」という読者からの大きな反響が後押しとなっていた。
 2017年に単行本を刊行したときも、口コミが口コミを呼んだ。賞を受賞したわけでもない、小説家としてはまったく無名の新人の作品にしては異例の大増刷。想像をはるかに超える大ヒットとなった。
 受賞を聞いた燃え殻は「驚きました。たくさんの皆さんとの出会いがあって、想像もしていなかったこのような素晴らしい場所まで、たどり着くことできました」と、喜びと驚きのコメントをブクログに寄せている。

あいみょんもファン

 紅白初出場も決定した大人気のシンガーソングライター・あいみょんも、実は本書のファンだという。あいみょんと著者の燃え殻は共通の知人を通じて知り合った。そのときは燃え殻が小説を書いていることも知らなかったあいみょんだが、後日、小説『ボクたちはみんな大人になれなかった』を読んで共感し、すぐさま燃え殻に感想を送った。

 それがきっかけとなり、今月発売の文庫版には、あいみょんによるエッセイ「アンサーソング」が収録されることに。本人の過去と恋愛と小説世界を重ねたあいみょんの文章の中には、初めて本書を読んだときの気持ちが以下のように綴られている。

「ここまで人間的で、生活に潜む些細な感情を掻きむしられた小説は今までになかった。的確に刺してくる。直接心臓に炭酸をかけられたみたいにシュワシュワ弾てキュッとなる」(『ボクたちはみんな大人になれなかった』(文庫版)収録「アンサーソング」より)

 無名の新人の作品ながら大ヒットとなったのは、世代や性別を超えて、あらゆる読者の胸に突き刺さる「共感」が理由のようだ。

Book Bang編集部
2018年11月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • このエントリーをはてなブックマークに追加