第8回梅棹忠夫・山と探検文学賞が発表 佐藤優『十五の夏』に決定

文学賞・賞

3
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 第8回梅棹忠夫・山と探検文学賞が3日に発表され、作家で元外務省主任分析官の佐藤優さんの『十五の夏』(幻冬舎)に決まった。

 受賞作『十五の夏』は、外務省を経て、作家として活動する佐藤優が、高校に入学した15才の夏に、たった一人で冷戦時代のソ連・東欧を旅した42日間を綴った一冊。外務省入省後、ロシア日本国大使館勤務等を経て、国際情報局分析第一課主任分析官として活躍した著者は、何を感じ、何を思ったのか?

 詩人の岡本啓さんは、本作について「上下巻で計八百ページを超える分厚い自伝小説だけれど、明快な文章に腕をひかれるように、みるみるページをめくることができた」と触れ、「ロシアの日本大使館で働き、元外務省主任分析官という特異な経歴をもつ作家が誕生する物語として読むことができるのはもちろん、一九七五年の世界のみずみずしい一枚のポートレートとしても見事だ」(中日新聞 東京新聞・書評)と評している。
https://www.bookbang.jp/review/article/552728

 著者の佐藤優さんは、同志社大学大学院修了後、外務省に入り、在英国日本国大使館、在ロシア連邦日本国大使館を経て、本省国際情報局分析第一課において主任分析官として情報活動に従事する。2002年に背任と偽計業務妨害容疑で逮捕され、執行猶予付き有罪判決を受ける。2005年に事件における捜査の内幕や背景などを綴った『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』を出版し、毎日出版文化賞特別賞を受賞する。主な著書に『自壊する帝国』『国家の謀略』『インテリジェンス人間論』『いま生きる「資本論」』などがある。

 梅棹忠夫・山と探検文学賞は、生態学にはじまり、民族学、比較文明学などで学術的偉業を残した梅棹忠夫さんのたゆまない「未知への探求」と「探検」の復権とあらたな展開を期して、山と溪谷社、平安堂、信濃毎日新聞社によって2011年に創設された文学賞。選考は、過去2年以内に出版された30冊を事務局で選定し、選考委員長のもと、2度の予備選考を行い最終候補作品を決定する。第8回の選考委員は、小山修三さん、中牧弘允さん、三村卓也さん、江本嘉伸さん、川崎深雪さんの5名が務めた。

 昨年は、大竹英洋さんの『そして、ぼくは旅に出た。はじまりの森ノースウッズ』(あすなろ書房)が受賞。過去には角幡唯介さんの『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』(第1回)、高野秀行さんの『謎の独立国家ソマリランド』(第3回)、中村哲さんの『天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い』(第4回)などが受賞している。

 第8回の候補作は以下のとおり。

『ジハード大陸 「テロ最前線」のアフリカを行く』服部正法[著]白水社
『十五の夏』佐藤優[著]幻冬舎
『昆虫学者はやめられない 裏山の奇人、徘徊の記』小松貴[著]新潮社
『ノモレ』国分拓[著]新潮社

Book Bang編集部
2019年4月11日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • このエントリーをはてなブックマークに追加