「テストの問題文が以前より難しくなった」。ここ数年、教育の現場や小学生の子どもを持つ保護者の間で、よくこんな会話を耳にする。脱ゆとり教育で「読解力」が重要視されるようになり、定期テストや入試問題において、その力を問う出題形式が増えているからだ。国語に限らず、例えば算数でも、出題された問題文の意味が理解できず、答えを導き出す式までたどり着けないらしい。
どんな教科にも読解力が必要
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- 子どもの学力がぐんぐん伸びる お母さんと一緒の読解力教室
- 価格:1,320円(税込)
「読解力は、国語以外の教科の学習でも土台となる力。2011年度から施行された新学習指導要領では、読解力を身につけることが大きな目標の一つになっています」
こう語るのは、近著『お母さんと一緒の読解力教室』が話題の国語教師、二瓶弘行先生。筑波大学附属小学校の教壇に立ちながら、全国で国語の授業作りセミナーを行い、大学の講師も務めるカリスマ教育者だ。先生によれば、文章を読む力、つまり「読解力」を身につけることが、すべての教科で学力を伸ばすための大前提なのだという。
では、どうすれば読解力が身につくのか? 同書では、説明文と物語、両方の文章を読み解く「二瓶メソッド」を紹介している。
「三つの大部屋」と「クライマックス場面」に注目
説明文を読み解くために使うのは「三つの大部屋読解法」。説明文は、基本的に「序論」「本論」「結論」という三つのパートから構成されているので、その仕組みを図示できれば、筆者の伝えたいことが捉えやすくなる。具体的には、三つの大部屋を持つ家の絵を描き、意味から分割した段落にタイトルをつけながら記入していく(図A)。説明文の構成が整理され、すっきり見晴らしが良くなる(筆者の言わんとするところがひと目で理解できる)。
そして、物語を読み解く「クライマックス場面読解法」では、あること(主に主人公の気持ち)が一番大きく変わる「クライマックス場面」に注目する。時・場・人物を表す言葉から、「前ばなし場面」「出来事の展開場面」「クライマックス場面」「後ばなし場面」の四つに区切り(図B)、大きく変わった場面を深く探ると、物語に込められた価値観や人生観が見えてくる。
両方のメソッドともに、二瓶先生が実際に授業で活用している方法であり、他の教科への影響も含め、その効果は大きい。二瓶先生は『お母さんと一緒の読解力教室』中で、小学校でおなじみの「かさこじぞう」「大造じいさんとがん」「おおきなかぶ」を取り上げて、「二瓶メソッド」を実践的に紹介している。
読解力不足は損ばかり
読解力が不足したまま大人になると、実生活でも悪影響が出てしまう。メールの内容を誤解して友人と不仲になり、家電の説明書を読んでも意味がわからず、大切な契約書では自分が不利な条件でもハンコを押してしまう。
「だからこそ、子どもにはどうしても文章を読み解く力が必要なのです。読解力は、生きる力そのものですから」(二瓶先生)
人生に不可欠の読解力。子を持つ親ならば、何を差し置いても身につけさせたい能力だ。
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