村田沙耶香 生と死、性と食の「常識」を根底から揺るがす最新短編集を刊行

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 11月6日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、単行本 文芸書第1位は『人間』が獲得した。
 第2位は『ツナグ 想い人の心得』。第3位は『祝祭と予感』となった。

 4位以下で注目は9位『生命式』。2016年に芥川賞を受賞した村田沙耶香さんの短編集だ。芥川賞受賞作『コンビニ人間』(文藝春秋)は「普通」を問い直した作品。また10人産めば1人殺してよい「産み人」を描いた『殺人出産』(講談社)、家族という仕組みがなくなり人工授精のみで生殖が行われる社会を描いた『消滅世界』(河出書房新社)など、既存の価値観を揺さぶる作品を発表し続けてきた村田さん。死んだ人間を食べ、生殖を行う新たな「葬式」を描いた表題作「生命式」はそれらの作品を生み出すきっかけとなった重要な一作だ。

 文芸評論家で明治大学文学部准教授の伊藤氏貴さんは《死と生と性と食と自我と、人間にとっての根源に関わるわれわれの「常識」どもが次々に突き崩されていくこの感覚は、他では決して味わうことができない、村田の発見した「新世界」体験だ。村田の想像力の船に乗って、「常識」を揺るがす大航海に出かけよう。ただし、片道切符かもしれないが。》と読者に警鐘を鳴らしつつ勧めている。
https://www.bookbang.jp/review/article/592573

1位『人間』又吉直樹[著](毎日新聞出版)

僕達は人間をやるのが下手だ。38歳の誕生日に届いた、ある騒動の報せ。何者かになろうとあがいた季節の果てで、かつての若者達を待ち受けていたものとは? 初の長編小説にして代表作、誕生!!(毎日新聞出版ウェブサイトより)

2位『ツナグ 想い人の心得』辻村深月[著](新潮社)

死者との再会を叶える使者「ツナグ」。長年務めを果たした最愛の祖母から歩美は使者としての役目を引き継いだ。7年経ち、社会人になった彼の元を訪れる依頼者たちは、誰にも言えぬ想いを胸に秘めていた――。後悔を抱えて生きる人々の心を繋ぐ、使者の物語。シリーズ累計100万部の大ベストセラー、9年ぶりの待望の続刊!

3位『祝祭と予感』恩田陸[著](幻冬舎)

また彼らに、会える。 待望の『蜜蜂と遠雷』スピンオフ短編小説集!(幻冬舎ウェブサイトより)

4位『リアデイルの大地にて(3)』Ceez[著](KADOKAWA)

5位『出遅れテイマーのその日暮らし(4)』棚架ユウ[著](マイクロマガジン社)

6位『背中の蜘蛛』誉田哲也[著](双葉社)

7位『いずれ最強の錬金術師?(6)』小狐丸[著](アルファポリス発行/星雲社発売)

8位『転生したらスライムだった件(15)』伏瀬[著](マイクロマガジン社)

9位『生命式』村田沙耶香[著](河出書房新社)

10位『ライオンのおやつ』小川糸[著](ポプラ社)

〈単行本 文芸書ランキング 11月6日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2019年11月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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