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- 旅の断片
- 価格:1,760円(税込)
第5回斎藤茂太賞が13日に発表され、若菜晃子さんの『旅の断片』(アノニマ・スタジオ)に決まった。
『旅の断片』は、登山の専門出版社の編集者を経て文筆家として活躍している若菜さんによる随筆集。さまざまな国の風景や人との交流、旅を通じて広がってゆく思考を情緒豊かに綴った一冊。
審査委員を務めた下重暁子さんは「コロナ禍の中で山荘に引き籠もり、じっくり読み進めていくと、ますますこの作品に引き込まれた。外国へ行って、珍しいものを見ようというのではなく、人々の普通の暮らしに目を向け、それを落ち着きのある優しい文章で綴っている。たとえば、とある街角。おばあさんが毎日毎日花に水をやっている。ただそれだけの風景が、なんと愛おしく心にしみることか。かつて、宮城県気仙沼市から渡った島で、一日中ひたすら牡蠣の殻をむいている人々の姿に、心底感動したことを思い出した。地に足のついた暮らし、なんでもない日常がいかに尊いものであるか、旅のスケッチ風のエッセイが、そのことを改めて感じさせてくれた」と総評した。
著者の若菜さんは、1968年兵庫県生まれ。学習院大学文学部国文学科卒業後、山と溪谷社入社。「wandel」編集長、「山と溪谷」副編集長を経て独立。山や自然、旅に関する雑誌、書籍を編集、執筆。「街と山のあいだ」をテーマにした小冊子「mürren」の編集・発行人。著書に『東京近郊ミニハイク』『東京周辺ヒルトップ散歩』『徒歩旅行』『地元菓子』などがある。
なお、授賞式は新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえたうえ、日時等後日決定し、別途公表される予定。
斎藤茂太賞は、故・斎藤茂太さんの功績をたたえ、その志を引き継ぐために2016年に創設。昨年に出版された紀行・旅行記、旅に関するエッセイ及びノンフィクション作品を対象とする。今年は、下重暁子、椎名誠、大岡玲、芦原伸、種村国夫の5名の審査員によって選考が行われた。最終候補作には、若菜さんの著作のほかに、乙武洋匡『ただいま、日本』(扶桑社)、坂田ミギー『旅がなければ死んでいた』(ベストセラーズ)、岡本仁『また旅。』(京阪神エルマガジン社)が選ばれていた。
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