「ミステリが読みたい!」 今年の1位は辻真先『たかが殺人じゃないか』

文学賞・賞

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 早川書房発行の「ミステリマガジン」(2021年1月号)が発売され、ミステリが読みたい! 2021年版が発表された。

 国内編で1位となったのは、辻真先さんの『たかが殺人じゃないか』(東京創元社)。GHQの指導のもと制度改正が行われ男女共学となった学園を舞台とし、大戦の敗北を受け民主教育に変わってゆく中で大人はどう振る舞い若者は何を感じていたのか。著者自らが経験してきた時代背景を存分に描いた青春学園ミステリ。

 書評家の杉江松恋さんは《半世紀近くになる作家歴の中で、辻が繰り返し書いてきたことがある。先の戦争がいかに嘘に塗れたもので、そのために若者の夢がどれだけ摘み取られてきたか、ということだ。本作でも、民主教育の上っ面だけをなぞって肚の中は変わらない教師たちの滑稽さ、ずるずると戦争を続けてきたことへの反省のなさが少年たちの視線から容赦なく描かれていく。若い読者に、大人の嘘を見極めろ、と促す小説でもある。》と評している。
https://www.bookbang.jp/review/article/627654

 著者の辻さんは、1932年愛知県生まれ。NHK勤務後、『鉄腕アトム』『サザエさん』など、アニメや特撮の脚本家として幅広く活躍。1972年に『仮題・中学殺人事件』でミステリ作家としてデビュー。現在でもTVアニメ『名探偵コナン』の脚本を手掛けるほか、大学教授として後進の指導にあたっている。

 また、海外編では、ミステリファンから高い評価を得ている『カササギ殺人事件』『メインテーマは殺人』の著者・アンソニー・ホロヴィッツさんの『その裁きは死』(東京創元社)が1位に選ばれている。本作は離婚専門の弁護士が殺害された事件を元刑事のホーソーンが、壁には描かれた“182″の謎の数字を手がかりに事件の謎に挑む犯人当てミステリ。

 著者のアンソニー・ホロヴィッツさんは、1955年英国ロンドン生まれの小説家・脚本家。ヤングアダルト作品『女王陛下の少年スパイ!アレックス』シリーズがベストセラーになったほか、人気テレビドラマ『刑事フォイル』『バーナビー警部』の脚本を手掛ける。2014年にはイアン・フレミング財団に依頼されたジェームズ・ボンドシリーズの新作『007 逆襲のトリガー』を執筆している。また、アガサ・クリスティへのオマージュ作『カササギ殺人事件』では『このミステリーがすごい!』『本屋大賞“翻訳小説部門”』の1位に選ばれるなど、史上初の7冠を達成。ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ第1弾『メインテーマは殺人』でも、年末ミステリランキングを完全制覇している。

「ミステリが読みたい! 2021年版」は、書評家、作家、翻訳家、書店員といったミステリのプロフェッショナルが、海外作品・国内作品のベスト10を選出。その結果を集計してランキングにしている。

 そのほか、「ミステリマガジン」では、文芸、SF、ミステリ、ライトノベル、コミックなど各ジャンルの総評や皆川博子さんのインタビューなどが掲載されている。

【国内作品ランキング】
第1位『たかが殺人じゃないか』辻真先
第2位『透明人間は密室に潜む』阿津川辰海
第3位『Another 2001』綾辻行人
第3位『法廷遊戯』五十嵐律人
第5位『アンダードッグス』長浦京
第6位『楽園とは探偵の不在なり』斜線堂有紀
第7位『欺瞞の殺意』深木章子
第8位『名探偵のはらわた』白井智之
第9位『暗約領域』大沢在昌
第10位『不穏な眠り』若竹七海

【海外作品ランキング】
第1位『その裁きは死』アンソニー・ホロヴィッツ
第2位『ザリガニの鳴くところ』ディーリア・オーエンズ
第3位『指差す標識の事例』イーアン・ペアーズ
第4位『死亡通知書 暗黒者』周浩暉
第5位『パリのアパルトマン』ギヨーム・ミュッソ
第6位『天使は黒い翼をもつ』エリオット・チェイズ
第7位『警部ヴィスティング カタリーナ・コード』ヨルン・リーエル・ホルスト
第8位『時計仕掛けの歪んだ罠』アルネ・ダール
第9位『あの本は読まれているか』ラーラ・プレスコット
第9位『三分間の空隙』アンデシュ ルースルンド,ベリエ ヘルストレム

Book Bang編集部
2020年11月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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