百田尚樹 初のミステリがベストセラー1位 メディアへの皮肉が話題 モデルは朝○新聞? ○本テレビ?

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 1月6日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『野良犬の値段』が獲得した。
 第2位は『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』。第3位は『異世界のんびり農家(9)』となった。

 1位に初登場の『野良犬の値段』は12月24日に刊行された百田尚樹さん初のミステリー作品。ネット上に現れた「誘拐サイト」をきっかけに、新聞やテレビ・週刊誌などのメディアから、SNSや5ちゃんねる・ウェブサイトなどのネットまで、日本全体を巻き込んだ劇場型犯罪の顛末が描かれる。

 興味深いのは現実のメディアへの皮肉ともとれる描き方だ。「社会の木鐸」を標榜し、社会正義を声高に謳うなど「偽善に満ちた論調」で知られる新聞社「東光新聞」や「常日新聞」、三千億の内部留保を持ちながら受信料取り立てに躍起になるテレビ局「JHK」。「愛は世界を変える」という嘘くさいキャッチコピーのもとに「三十六時間テレビ」を放映する「大和テレビ」、「うちは雑誌が売れればなんでもいいんだ」と宣い社会正義など全く眼中にない「週刊文砲」など、オールドメディアの描かれ方にはテレビ業界と出版業界、どちらの裏側も知る百田さんならではの風刺の効いた描かれ方だ。一方で誘拐犯やメディアの印象操作によって猫の目のように論調が変わるネット世論や、名もなき一個人がネットで注目を浴びるために誘拐犯に利用される姿も描かれる。こちらも日々SNSで積極的な活動を行っている百田さんの肌感覚から来たものだろう。

 現代の人々が毎日のように接しているメディア環境を背景とし、さらに「痴漢冤罪」「ホームレス襲撃」「派遣切り」「食中毒事件」などこれまで世間を騒がした社会問題を見事に散りばめた第一級の“社会派”ミステリとなっている。ちなみに作家の「八田尚義」氏も登場する。

1位『野良犬の値段』百田尚樹[著](幻冬舎)

誘拐された、みすぼらしい6人の謎の男たち。 前代未聞の「劇場型」誘拐事件が、日本社会に“命の価値”を問いかける。(幻冬舎ウェブサイトより)

2位『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』東野圭吾[著](光文社)

殆どの人が訪れたことのない平凡で小さな町。寂れた観光地。ようやく射した希望の光をコロナが奪い、さらに殺人事件が……。(光文社ウェブサイトより)

3位『異世界のんびり農家(9)』内藤騎之介[著]やすも[イラスト][著](KADOKAWA)

魔王国の貴族学園の生徒たちが危険な森に迷い込んでしまった。 生徒の救出を頼まれた獣人族三人組は現場に急行するも、予想外の魔物が乱入してピンチに! 絶体絶命の三人組を助けたのは……!? 一方、“大樹の村”では天使族の長であるマルビットと、ティアの母親であるルィンシァが来訪し、ほかほかなコタツを占領していた。 シリーズ累計150万部突破! スローライフ・農業ファンタジー第9弾!(KADOKAWAウェブサイトより)

4位『オルタネート』加藤シゲアキ[著](新潮社)

5位『今度生まれたら』内館牧子[著](講談社)

6位『冒険者をクビになったので、錬金術師として出直します! 辺境開拓?よし、俺に任せとけ!(5)』佐々木さざめき[著]あれっくす[画](双葉社)

7位『何がおかしい 新装版』佐藤愛子[著](中央公論新社)

8位『少年と犬』馳星周[著](文藝春秋)

9位『流浪の月』凪良ゆう[著](東京創元社)

10位『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』辻真先[著](東京創元社)

〈文芸書ランキング 1月6日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2021年1月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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