【産経の本】『供養には意味がある ~日本人が失いつつある大切なもの~』一条真也著

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■豊かな老後へ死生観確立を

本書は、亡き家族や先祖とのつながりを再確認する行為である「供養」と、これまでの人生を一旦修めて、残りの年月を豊かに過ごすための「修生活動(修活)」の2つが、人間の「幸福」と深く関わっていることを分かりやすく伝えている。

日本では人が亡くなると「不幸があった」などというが、冠婚葬祭互助会を運営する著者は「死は決して不幸な出来事ではない」と言い切る。「死なない人はいません。すべての人が最後に不幸になるというのは、絶対におかしい」と明快だ。

現代は孤独死、無縁死が増え、通夜も告別式もせず火葬場に直行する「直葬」も一般化した。だが死者も含めた人の絆を重視する著者は、家族が亡くなれば「たとえどのようなかたちであっても葬儀をあげ、埋葬をし、供養するのが『人の道』だ」と説く。「あなたが遺棄した家族は、未来のあなたの姿でもある」との言葉には、ハッとさせられる。

一方、著者が提案する究極の「修活」とは、死の不安を乗り越え、死を穏やかに迎えられる死生観を確立することだという。そのためには読書と映画鑑賞がお勧めとも。死生観を持つことこそ、豊かな老後のために必要な心得であるのだろう。(産経新聞出版・1430円)

産経新聞
2023年6月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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