「『そんな時代もあったねといつか話せる日が来るわ』中島みゆきさん、好きです」生命誌研究者・中村桂子が考える「老いを愛づるヒント」[新書ベストセラー]

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

 7月19日トーハンの週間ベストセラーが発表され、新書第1位は『堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法』が獲得した。
 第2位は『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』。第3位は『裁判官の爆笑お言葉集』となった。

 4位以下で注目は8位にランクインした『老いを愛づる 生命誌からのメッセージ』。生命誌研究者の中村桂子さんが人生哲学を綴った一冊。「中島みゆき」「バカボンのパパ」「フーテンの寅さん」「『北の国から』の五郎さん」「まど・みちお」「山下清」「中村哲」などの言葉を引用し、「老い」を愛づるヒントや上手く老いる方法、「生き物」らしく自然体で暮らす方法について語っている。

 津田塾大教授の三砂ちづるさんは《かわいらしい、素直な一冊である。肩肘(ひじ)張らずに、すっと読める。》《とにかく、気負いというものがぜんぜん、感じられず、さらさら読めてしまう。だからと言って、軽い本では、全くない。》と紹介。生命誌という考え方を提唱し、自ら生命研究の最先端を走り続けてきた著者がたどり着いた「老いを愛づる」という境地に《そのかわいらしさにこそ、この複雑極まりない時代の希望があるか。》と納得し、《答えが出ない問いを抱え続けるしかないこと。殺すことはいけない、とわかっていながら、いのちあるものを食べないわけにはいかない、という複雑さを抱えていくしかない、ということ。複雑さを手放さず、かわいらしくありたい。存在を愛づるための一冊なのだ。》と評している。

1位『堤未果のショック・ドクトリン 政府のやりたい放題から身を守る方法』堤未果[著](幻冬舎)

「ショック・ドクトリン」とはテロや大災害など、恐怖で国民が思考停止している最中に為政者や巨大資本が、どさくさ紛れに過激な政策を推し進める悪魔の手法のことである。日本でも大地震やコロナ禍という惨事の裏で、知らない間に個人情報や資産が奪われようとしている。パンデミックで空前の利益を得る製薬企業の手口、マイナンバーカード普及の先にある政府の思惑など……。強欲資本主義の巧妙な正体を見抜き、私たちの生命・財産を守る方法とは?滅びゆく日本の実態を看破する覚悟の一冊。(幻冬舎ウェブサイトより)

2位『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』今井むつみ[著]秋田喜美[著](中央公論新社)

日常生活の必需品であり、知性や芸術の源である言語。なぜヒトはことばを持つのか?子どもはいかにしてことばを覚えるのか?巨大システムの言語の起源とは?ヒトとAIや動物の違いは?言語の本質を問うことは、人間とは何かを考えることである。鍵は、オノマトペと、アブダクション(仮説形成)推論という人間特有の学ぶ力だ。認知科学者と言語学者が力を合わせ、言語の誕生と進化の謎を紐解き、ヒトの根源に迫る。(中央公論新社ウェブサイトより)

3位『裁判官の爆笑お言葉集』長嶺超輝[著](幻冬舎)

「死刑はやむを得ないが、私としては、君には出来るだけ長く生きてもらいたい」(死刑判決言い渡しの後で)。裁判官は無味乾燥な判決文を読み上げるだけ、と思っていたら大間違い。ダジャレあり、ツッコミあり、説教あり。スピーディーに一件でも多く判決を出すことが評価される世界で、六法全書を脇におき、出世も顧みず語り始める裁判官がいる。本書は法廷での個性あふれる肉声を集めた本邦初の語録集。これを読めば裁判員になるのも待ち遠しい。(幻冬舎ウェブサイトより)

4位『ウクライナ戦争の嘘 米露中北の打算・野望・本音』手嶋龍一[著]佐藤優[著](中央公論新社)

5位『なぜヒトだけが老いるのか』小林武彦[著](講談社)

6位『問題はロシアより、むしろアメリカだ 第三次世界大戦に突入した世界』エマニュエル・トッド[著]池上彰[著]大野舞[通訳](朝日新聞出版)

7位『安倍晋三の正体』適菜収[著](祥伝社)

8位『老いを愛づる 生命誌からのメッセージ』中村桂子[著](中央公論新社)

9位『知らないと恥をかく世界の大問題14 大衝突の時代-加速する分断』池上彰[著](KADOKAWA)

10位『脳の闇』中野信子[著](新潮社)

〈新書ランキング 7月19日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2023年7月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク