「パンダ母子」の絆にグッとくる…一緒に過ごす最後の日にお母さんが見せた愛情あふれる行動とは

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だいすきだよ(写真:アドベンチャーワールド撮影)

 今日でうちの子と一緒に過ごすのも最後か…。

 ちょっと前まで甘えていたような我が子も、いつかひとり立ちする日は訪れる。その時を迎えるのは、人間だけではない。パンダも同様だ。

 和歌山県白浜町にあるレジャー施設「アドベンチャーワールド」で生まれた雌のジャイアントパンダの楓浜(ふうひん)は、11月22日に3歳を迎える。

 2020年の誕生時にその愛くるしさで世間を大いに賑わせた楓浜の成長を、2歳になるまで日記風に綴った一冊の写真集がある。読売新聞・和歌山支局の連載が、ファンの熱望によりクラウドファンディングが実施されムック本になった『パンダダイアリー』だ。現在は、読売新聞アーカイブ選書として電子書籍化され、連載に加筆修正された“完全版”を読むことができる。

 好奇心が強く甘えん坊の楓浜を、お母さんの良浜(らうひん)が大切そうに寄り添い育てる様子が日々の様子と写真から伝わって来る。そんな楓浜が1歳5か月となり、親離れのため母子で過ごす最後の日に、お母さんの良浜が見せたグッとくる仕草とは――。

(以下、読売新聞の連載が電子書籍になった『パンダダイアリー(読売新聞アーカイブ選書)』より抜粋、一部表記の修正をしました)

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楓浜のやんちゃな赤ちゃん時代(2021年6月17日、207日齢)


お母さんが心配そうでも楓浜はおかまいなし(写真:前田尚紀・撮影)

 楓浜に新しい木製遊具がプレゼントされました。

 野生のパンダは生後5か月頃には、自力で木登りを始めます。今月22日に生後7か月を迎える楓浜。4月から低い丸太の遊具で遊び、足腰が発達してきました。アドベンチャーワールドはさらに力をつけてもらおうと、大きな遊具を新たに贈ることにしたそうです。

 遊具は高さ1.7メートル、幅2メートル。紀州材のヒノキで作られており、5本の丸太と、はしごを組み合わせ、好きな場所から上り下りできます。早速、楓浜は遊具によじ登り、何度も落ちていました。

 母親の良浜は遊具で遊ばせるのがまだ心配な様子で、楓浜をくわえて下ろす場面もありました。それでも楓浜は無邪気に何度も挑戦していました。

 楓浜は1日の半分以上を寝て過ごし、天気の良い日は30分ほど日光浴をします。多い日にはミルク600ミリリットルを飲み、リンゴも食べるなど食欲は旺盛です。

 飼育スタッフの中谷有伽さんは「筋力もついて遊ぶ時間が増えてきました。新しい遊具にもすぐに慣れてくれるのでは」と話しています。

もうすぐひとり立ちでも、ミルクが欲しくて「クンクン」(2022年3月29日、492日齢)


ミルクを与える母・良浜の表情もやさしげ(写真:湯川大輔・撮影)

 楓浜が、お母さんの良浜から「ひとり立ち」する4月上旬までもうすぐです。

 楓浜は竹を食べた後は、遊具の上で寝るという行動を繰り返すようになっています。最近では親子で過ごす時間が少なくなり、楓浜も大人のパンダと同じようなライフスタイルを確立しつつあります。

 9日朝、楓浜は屋外運動場にいつもより遅く出てきた良浜を見つけると、すぐにおなかの下に潜り込んでゴクゴクとミルクを飲んでいました。

 アドベンチャーワールドによると、パンダの鳴き声は11種類ほどあるそうです。楓浜が良浜のミルクが欲しい時は「クンクン」と鳴き、良浜の背後に付きまとっておねだりします。驚いた時は「ワン」とほえます。

 アドベンチャーワールドの広報を担当する北村あすかさんは「親子を一緒に見られるのもあともう少しです。耳を澄ませば、運良く楓浜の鳴き声が聞こえるかもしれません」と話しています。

Book Bang編集部
2023年10月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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