「顔の見た目が若い人は、体も若い」って本当…? 同窓会で“自分だけ老けてる”と感じたら気をつけて

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク


老化のスピードには個人差が!

 久しぶりに参加した同窓会。みんな同じ年齢のはずなのに若々しく元気な人もいれば、すっかり老けて見える人も……。そんな経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。

 京都府立医科大学大学院医学研究科教授で、『最高の食べ方がわかる! 老けない腸の強化書』の監修者、内藤裕二医師は、「暦で数えた年齢が同じでも、老化のスピードは必ずしもみな同じではなく、個人差があることがわかってきました。また、最新の研究では、老化防止のためには腸内環境を整えることが重要とも説かれています」といいます。
 いつまでも若さを保ち、健康で過ごすためには、どのような食事をすればよいのでしょうか。

※本稿は、内藤裕二『最高の食べ方がわかる! 老けない腸の強化書』(新星出版社)の一部を再編集したものです。

■実年齢と老化の速さは一致しない?

 歳をとるスピードのことを、専門用語でペースオブエイジング(PoA)といいます。最近の調査で、人によってこのPoAが異なることが証明されました。暦上は誰もが平等に1年に1歳ずつ歳をとりますが、体や脳の老化のペースは平等ではないのです。つまり、早く老いる人、ゆっくり老いる人がいるということです。このショッキングなデータは、2021年に『Nature Aging』という論文に掲載され、大変反響を呼びました。

■顔の見た目が若いと体も若い

 研究では、1972~1973年に生まれたニュージーランド人1037人を追跡し、26歳から45歳までの内臓や脳、視覚、聴覚、歯、運動能力や見た目など、さまざまなデータを収集・分析しました。その結果、PoAは、0.40~2.44歳と、人によって大きな幅があることがわかりました。

 この研究結果でもっとも衝撃的なのは、「顔の見た目が若い人は、体も若い」という事実です。同じ年齢なのに、しみやしわが少なく、肌にもはりがあって、とてもその年齢には見えないという人が、あなたの身近にも何人かいるのではないでしょうか。データではそういう人は、筋力、内臓や脳、骨など、体の年齢も若いことがわかりました。つまり、顔の見た目と体の若さには相関関係があるのです。


顔の見た目と体の若さには相関関係がある

■老化と腸には深い関係がある

 最近、老化と腸に深い関係があることが明らかになってきています。腸の老化を防ぐことで、体の老化を防ぎ、健康長寿が叶うかもしれません。

 ここで注目すべきは、100歳以上の「長寿者」が全国平均の2.7倍という驚くべき数字をはじき出している、京丹後市に住む人々の暮らしです。京丹後市では、2017年から高齢者の腸内細菌を調べる研究が行われています。

 京丹後市は、京都市から特急で2時間半の距離にある海沿いの町で、漁業や絹織物で栄えた町です。人口密度も高くありません。そのため日常生活の中で自然とよく歩き、冬でも体を動かす時間が長いことがわかりました。10m歩いたときの速度を測ったところ、歩く速度が遅い人は全体のたったの10%と、京丹後市の人は高齢者でも速く歩く人が多いのです。速歩きは足腰を鍛える効果がありますから、骨格筋量が多いこともうかがえます。血管年齢が若くサルコペニア(筋肉量の低下)が少ないという結果も出ましたが、それも普段の運動量が多いためでしょう。

 また、京丹後市の長寿者に食生活についてアンケートを取ったところ、多くの人が実施していたのは、(1)3食きちんと規則正しく食べる、(2)偏食をしない、(3)野菜をしっかり食べる、(4)水分をしっかりとる、ということでした。食事の内容は、全粒穀物、イモ類、海藻類、豆類など。肉はほとんど食べず小魚などを食べていることがわかりました。食事は少しずつ食べ、腹5~6分目を心がけているようです。


京丹後市の長寿者は、食物繊維の摂取量が多い

 京都市内の65歳以上の方と京丹後地域の65歳以上の方の食生活を比較すると、全粒穀物を毎日食べると答えた人が、京都市内では11%に対し、京丹後地域では27%と倍以上。イモ類は、京都市の人は54%に対し、京丹後市の人は約80%が週に3回以上食べています。海藻類も京都市の人は44%食べているのに対し、京丹後市の人は66%と、歴然とした差がありました。

 また、京丹後市の家庭では、特産の板わかめのだし汁で季節の野菜や魚、豆を煮る「炊いたん」が定番料理で、全粒穀物を主食にし、根菜類、豆類を継続的に食べる長寿者が多いことがわかりました。

 だし汁による味付けが中心なので塩はあまり使わず、水溶性食物繊維が圧倒的に多い食生活が京丹後市の長寿の特徴です。

内藤裕二(ナイトウユウジ)
京都府立医科大学大学院医学研究科 生体免疫栄養学講座教授。1983年京都府立医科大学卒業。米国ルイジアナ州立大学医学部分子細胞生理学教室客員教授、京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学准教授、同大学附属病院内視鏡・超音波診療部部長などを経て、2021年より現職。日本消化器免疫学会理事、日本抗加齢医学会理事、2025年大阪・関西万博大阪パビリオンアドバイザー。酪酸産生菌と健康長寿の関係などの研究をはじめ、長年腸内細菌を研究し続けている本領域の第一人者。著書に『消化管(おなか)は泣いています 腸内フローラが体を変える、脳を活かす』(ダイヤモンド社)、共著に『腸すごい! 医学部教授が教える最高の強化法大全』(文響社)などがある。

内藤裕二(京都府立医科大学大学院医学研究科教授)/イメージ画像:Shutterstock/イラスト:大崎メグミ

Fun-Life!
2023年12月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新星出版社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

株式会社新星出版社のご案内

生活実用書、語学入門書、ビジネス実用書、児童書、各種資格試験問題集などを出版している。2023年10月に創業100周年を迎える老舗実用書出版社。2020年より、生活に役立つ情報をお届けするWEBマガジン、Fun-Life!を運営中。