完成間近な新国立競技場の建設現場で働く中谷は、作業員仲間にいじめられていた年老いた「おっさん」をかばったことで親しくなる。解雇されたおっさんは、競馬のノミ馬券の受け取りを中谷に託すが、この大穴が当たって5000万円の大金が中谷に転がり込む。
東京五輪を控えた近未来を舞台に、完璧な市場予測システム「エアー」をめぐる政官財の騒動を描いたサスペンス小説で、手に汗握る展開を楽しませつつ経済の原理を平易に解説。著者は長く映画プロデューサーを務めてきた。場面転換の鮮やかさと情景描写の巧みさにぐいぐい引き込まれる。(小学館・1800円+税)
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2015年12月6日 掲載
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