伊賀大介は 『昭和レトロスタヂアム 消えた球場物語』を読んで 昔を懐かしみつつ、21世紀を生きる自分と向き合う

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伊賀大介は 『昭和レトロスタヂアム 消えた球場物語』を読んで 昔を懐かしみつつ、21世紀を生きる自分と向き合う

[レビュアー] 伊賀大介

伊賀大介

 心底、ドロドロに疲れきって帰宅した夜。気は昂りまくっているが、明日の朝も早いとなると、映画(寝オチする)音楽(大音量ムリ)読書(面白過ぎると寝れない)の、三大好物に腰を据えて取り組むには中々厳しい。そんなもどかしい夜、缶ビール片手にサラッと付き合うのに丁度イイのが「スタジアム本」である。ってか、スタジアム本って何だよ!? と思われるだろうが、ここで言っているのは、とどのつまり、野球の球場の写真集。
 目下のお気に入りは、M​L​B(ま、アメリカ野球っす)ジャーナリストの、A​K​I猪瀬さん著「メジャーリーグ スタジアム巡礼」という、メジャー30球団の球団をそれぞれ写真付きで紹介している一冊なのだが、軽くハードリカーをキメながら写真を眺めていると、まるで自らがアメリカ全土を旅している様な気になってくるからアラ不思議。
 30個の球場はそれぞれ「流石アメリカっ!!」と、言いたくなる個性で彩られており(外野にプールとか、ホテルの窓から繋がってるとか、エイが泳ぐとか、ディズニーが経営とか!!)、頁をめくる度に「うおー! 行きてー!!」と思わされる場所ばかりで、疲れきり尖った心を癒して(©rhymestar)くれるのだ。
 この、アメリカにあって日本にはない「ボールパーク」という概念(要するに試合だけじゃなくて、食い物なども引っ括めて球場に行く事を、遊園地に行くような感じで楽しむって事)をちょっとでも味わいてぇ! と、横浜ボールパーク構想(完成予想の図が最高)を掲げる、ハマスタのデーゲームに繰り出した。
 巨人ファンとしては、助っ人外人ギャレットの三打席連続ホームランなどで大勝し、それはまぁ嬉しかったのだが、良く晴れた空の下、熱いファンと選手が一体になってる感じに気圧された&羨ましかったのも又事実。ここでしか呑めないクラフトビール・ベイスターズラガーは死ぬほどウマかったし、崎陽軒のシウマイカレーもかなりクオリティが高かった!
 やっぱいいじゃん、日本のオールドスクールな球場たちも!! って事で読んだのが、坂田哲彦著『昭和レトロスタヂアム 消えた球場物語』だが、ジャケはかつて荒川区にあった通称「光の球場」、東京スタジアムだ! なにこのグッケンハイム美術館的なモダニズム! こち亀で「おばけ煙突が消えた日」と並ぶ、下町傑作回「光の球場!」でも描かれたあの、東京スタジアムのモノクロ写真を見るだけでサワー2杯はイケる。
 他にも「テレビじゃ見れない」川崎球場や、樽が泣ける広島市民球場など、今は無き球場たちに想いを馳せると、メジャーの球場とはまた違った酩酊感が味わえます。しかし! 21世紀を生きる我々は、ノスタルジックばかりを追い求めてはならない! マツダもコボスタもあるじゃないか! 後は東京ドームとっとと畳んで、後楽園球場丸ごと復刻して開閉屋根付けりゃノー問題!!(バックスクリーンにはパイオニアのロゴ付き)と、夢想しながら晩酌するのでありました。よし、とりあえず明日神宮外野行くか!!!

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『昭和レトロスタヂアム 消えた球場物語』
大阪球場、川崎球場、後楽園球場をはじめとする今は無きスタジアムがおさめられた、昭和の野球場の回想録。当時のチケットからオールスターゲームのポスター、球場内外の情景など、貴重な資料写真も多数掲載。ミリオン出版。1944円

太田出版 ケトル
VOL.32 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

太田出版

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