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新書はこれを読め!
[レビュアー] 新潮社
今井むつみ・秋田喜美『言語の本質』(中公新書)は、認知科学者と言語学者によるスリリングな共著として目下話題のベストセラー。オノマトペ、アブダクション推論などを通して、人間にとってことばとは何なのかを、知的にかつやさしく教えてくれる好著だ。
志村真幸『未完の天才南方熊楠』(講談社現代新書)は、熊楠を研究して22年という著者が、最新の研究成果と新たに発見された資料を紹介しながら、世界に知られた「知の巨人」の謎を追う。コンプリート(完成)にも業績のアウトプットにもこだわらない学問の精神が魅力的だ。
唐沢孝一『都会の鳥の生態学』(中公新書)は、日々目にするカラスやスズメ、水鳥など、都会の限られた自然の中で生を営む鳥たちの行動を綿密に調査。人の活動との関わりが浮き彫りにされて面白い。
ゴジキ『戦略で読む高校野球』(集英社新書)は、二〇〇〇年以降の甲子園の強豪校をデータ面から詳しく分析、時代とともに変わる戦略トレンドを明らかにする。回想の懐かしさもある、格好の観戦ガイドだ。
魅力的な音楽と、道徳的にまったく正しくない日常。神舘和典『不道徳ロック講座』(新潮新書)は、ミック・ジャガーらレジェンドたちの規格外のエピソードを凝縮した痛快な書。