伊賀大介は『オレたちのプロ野球ニュース』を読んで、読める「プロジェクトX」だと絶賛‼

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オレたちのプロ野球ニュース

『オレたちのプロ野球ニュース』

著者
長谷川晶一 [著]
出版社
東京ニュース通信社
ジャンル
芸術・生活/体育・スポーツ
ISBN
9784198643737
発売日
2017/03/11
価格
2,200円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

伊賀大介は『オレたちのプロ野球ニュース』を読んで、読める「プロジェクトX」だと絶賛‼

[レビュアー] 伊賀大介

伊賀大介
伊賀大介

 東京ドームに集まった満員のファンが大声援を送る、4番の左スラッガー!!
 と言えば、果たして誰を思い浮かべるだろうか!? 松井? 由伸? 阿部慎之助?? それともギャレット?? ってそりゃニッチ過ぎるって話。そう、実はこの日、豪快なホームランで一番の歓声を受けた左の大砲とは……横浜DeNAベイスターズの筒香!!
 ってな訳で、つい先日行って来ましたWBC!!(ボクシング・ファンとしては未だこの呼称に納得はしてないが)。この日は初戦のキューバ戦。普段は憎い( というか歯痒い)アイツらが同じユニ着てる嬉しさったら!! このキャプ翼でいう、ジュニアユース感!! 日向くんも! 三杉くんも! 次藤くんも!! 的な)。夏オールスターも勿論いいけれど、幻ホームランの山田、守備だけで切符代に釣りが来る菊地、現役メジャーの青木、サブマリン牧田ら、余裕で年俸億越えのヤツらが織りなす一発勝負の「オトナ甲子園感」にシビれた人も多い事だろう。(因みにコレ書いてる時はまだ準決勝前です!! さてどーなる!?)
 近年、プロ野球人気の低下が嘆かれて久しいが、こういう熱い試合がお茶の間に届けば、やっぱ野球、面白いっ!! って事になるのは当然の事。
 で、そんな余勢を駆ってアッと言う間に読了したのが、プロ野球12球団のファンクラブに入った体験記や、プロ最弱球団といわれた高橋ユニオンズのルポ(名著!!)などで野球ファンのツボを付きまくる、ノンフィクションライター長谷川昌一氏による『オレたちのプロ野球ニュース』なる一冊!!
 1976年、プロ野球のニュースに革命が起きた。巨人&セ・リーグ偏向報道に真っ向から立ち向かった「全試合平等に報道」の内幕や、みのもんたのアドリブから産まれた「珍プレー・好プレー大賞」や、なにより選手が一番観てたという(世界の王貞治も!!!)「今日のホームラン」や、シーズンオフならではの選手密着ドキュメント「わが故郷」などの、今まで誰も考えつかなかった企画をどうやって実現させたのか? などの顛末は勿論、生放送ならではのトラブル話、大阪にいた「編集の神様」や、史上初の隠し球一部始終を撮ったカメラマンなど、舞台裏で活躍した職人たちの逸話の辺りは、ほぼ読めるプロジェクトX!!! って感じで、野球ファンは当然、野球知らなくても「道を切り拓いた奴らモノ」が好物な人は間違いない逸品。
 さぁいよいよ2017年シーズンも開幕である。カープも相変わらず強そうだし、神宮行きゃ山田とバレンティン観れるし、ハマスタでは美味過ぎる地ビール・ベイスターズラガーが呑める。勿論パリーグもヤバい。日本で大谷観れるのもあと少しだし、西武は辻が監督だし、ロッテの応援はアツい(触れてないチームも勿論見所ありまくり! 失礼!!)。
 野球も映画もビールも、やっぱ生は最高だ。食わず嫌いの方の是非一度球場に!!
 よし、今年もヴァイブレーション聴きながらドーム向かうぜ!!!

太田出版 ケトル
Vol.36 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

太田出版

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