君の名、は？――『だからあなたは殺される』刊行エッセイ　水生大海

私の名は、水が生まれて大きな海へ、と書きます。

　キャラクターの名前には凝るほうで、デビュー作『少女たちの羅針盤』（原書房ならびに光文社文庫）の四人のメインキャラクターは、名前に東西南北の文字が含まれています。

　今回みなさまにお届けする『だからあなたは殺される』の主人公は、兄の名が、汐崎正義。妹の名が、持田優羽。正義感に溢れる兄と、頭が切れて希望へと羽ばたく妹、という組み合わせです。いろいろあって苗字が違いますが、その理由は本書でご確認ください。

　さてこのお話、舞台が警察に高校、容疑者も関係者もいっぱい、名付ける必要のある登場人物が多かったのでした。

　ハンマーマンとネットで噂される犯人に、女子高生読者モデル、紫苑が殺されます。紫苑の花言葉は「君を忘れない」。意味深にしてみました。残虐な殺人事件とあって特別捜査本部が立ち、警視庁捜査一課がやってきます。捜査一課の担当は、前作『冷たい手』（光文社）にも登場した第十四係。捜査員は一緒なのですが、活躍シーンも多いため今回、新たに何人かに渾名を加えました。自分でも気に入っている渾名はドーガン。なぜそんな渾名なのか、理由は本書で（笑）。

　優羽が潜入捜査（!?）を行うカフェの名前は、コクーン。ちょっと遊んで、常連客の呼び名がベンとジョー（作中では漢字にしています）。店のマスターが画家なので、作中には書かないけど密かにアートと呼ぼう。この理由は本書に載っていないため、“映画”“コクーン”で検索をしてください。

　もっとも、正義とペアを組む、他の警察署から応援に来た刑事のセリフでヒントを出しています。彼はコツコツタイプ。情報は足で稼ぐべしと考えているので……、芦谷（あしや）でどうだ。

　と、最後は疲れてダジャレまで駆使したけれど、内容はいたって真面目、社会派の物語です。家族とはなにか、立ち止まって考えてしまうとともに、真相に驚くこと必至です！

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