幕末に洋式帆船を次々と作った船大工、続豊治。旧幕臣脱走軍の戦場と化した箱館で老いながら、ひっそり生きていた。ある日、意外な訪問を受け、豊治の胸に再び船造りの情熱が…(表題作)。
初代北海道庁長官の岩村通俊はかつて函館に赴任した際、北海道を欧米から守ったという自負があった。だが、2度目の赴任でその思いが揺れる(「野火」)。
江戸から明治へ-北海道開拓の歴史に名を刻んだ人々の激動の人生を描く5編を収録。平成30年の北海道命名150年に向けた作品で、今日にもつながる先人たちの強い決意が伝わってくる。(双葉社・1500円+税)
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2017年9月24日 掲載
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