『日本殺人巡礼』
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『日本殺人巡礼』八木澤高明著
[レビュアー] 産経新聞社
犯罪は時代の映し鏡である。特に誰もがその名を知る凶悪犯罪は、そこに日本という国の本質をも見て取ることができる。本書は、気鋭のノンフィクション作家が数々の凶悪犯罪の舞台となった土地、殺人者の郷里、殺害現場を取材し、事件の記憶と土地の因果を浮かび上がらせた旅の記録だ。
現代の八つ墓村と呼ばれた村落、少年Aが流れ着いた東京ノースエンド、吉展ちゃん誘拐殺人事件と秋葉原事件をつなぐ東北、林真須美死刑囚が育った海辺の集落…。点と点をつなぐ旅の中で著者は、犯罪者とそうでない者との境界線はどこにあるのかと読者に問いかける。(亜紀書房・1700円+税)