まるごと1冊「セーラー服」本 輝き続けた100年間

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セーラー服と女学生

『セーラー服と女学生』

著者
内田 静枝 [著]
出版社
河出書房新社
ジャンル
社会科学/民族・風習
ISBN
9784309750309
発売日
2018/03/27
価格
1,980円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

きらきら輝き続けるセーラー服の100年間

[レビュアー] 西田藍(アイドル/ライター)

 セーラー服が好き!という気持ちが高まったのは中学時代で、それから今に至るまで、私は「セーラー服好き」として通ってきた。テレビ番組にも自前のセーラー服を着て出演し、自分のアイコンにしたほどだ。しかし、愛おしきセーラー服の本当の魅力……長い歴史と現代に至るまでの変遷……この魅力を伝えきれていないと常日頃感じていた。だが、これでもう安心だ。この本をすっと差し出せばいいのだから!

 この本はまず、セーラー服の歴史から紐解いていく。セーラー服が生まれたのは、「女学生」がいた時代、大正9年頃と言われているのだ。着物に袴姿だった「女学生」の洋装化。時代の最先端、西洋からのファッションに動きやすさを取り入れた、最新衣類が「セーラー服」だったのだ。そもそも、セーラー服自体は、水兵服からファッションのスタイルとして取り入れられたもの。たまたま、「女学生」の洋装に取り入れられたことで、平成が終わる今となっても、女子学生の制服として用いられるほど定着したのだ。その定着は偶然か、必然か。大正、昭和、平成にまたがる少女たちの思い出、記録、写真、イラストレーション。少女たちがなぜ愛したか、どう愛していったか、そして女子学生とセーラー服がいかに結びつき、きらきらと輝き続けたか! まるごと分かる一冊になっている。

 私がはじめてセーラー服というものを知ったきっかけは、実在の学生ではなく、『美少女戦士セーラームーン』という作品だった。中学生になったらこんな可愛らしい服を着るのだと思いこんでいた(そんなことはなかったので余計に偏愛も高まった)。その作者の武内直子、同じくセーラー服を描いてきた中村佑介、森伸之、江津匡士のインタビューも、それぞれの愛が詰まっている。

 弥生美術館で行われている特別展覧会は6月24日まで。実物の制服、さまざまな原画が展示されている。私は思わず感涙にむせんだ。

新潮社 週刊新潮
2018年6月21日早苗月増大号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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