【気になる!】文庫 『今昔百鬼拾遺 天狗』
[レビュアー] 産経新聞社
女学生の美由紀は年上の美弥子と知り合い、その友人、美智栄が高尾山中で消息を絶ったことを知る。その後、群馬・迦葉山で美智栄の衣服をまとった別の女性の遺体が発見される。また、高尾山では美智栄の失踪と同じ頃、さらに女性2人が行方不明となり…。
美由紀、美弥子と雑誌記者の敦子が相次ぐ失踪と死の謎に挑む。果たして高尾山、迦葉山に伝説がある天狗(てんぐ)の仕業なのか。「百鬼夜行シリーズ」の「鬼」「河童(かっぱ)」に続く第3弾。
昭和29年が舞台だが、LGBTや同調圧力、男女格差など今日的テーマも折り込み、読み応えがある。(京極夏彦著、新潮文庫・710円+税)