『世界経済図説 第四版』
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「コロナ後」の経済まで見通すために
[レビュアー] 林操(コラムニスト)
昔々、昼寝の枕にも最適な年刊事典がありまして、その名は『現代用語の基礎知識』。生意気な中学生が1冊読み通せば、ルイ14世と16世の区別も危うい首相を笑えるくらいの知恵は付く分厚さがあった。
が、後追いの『imidas』や『知恵蔵』が休刊して早10年以上。元祖『現基知』も2020年版には大ナタが振るわれ、前年まで1200超だった頁数が300を割り込んだ。幅広い知識の詰まった紙の束をカネで買う時代は終わって、知りたいことだけネットでタダで手繰っていくのが今日このごろ、なわけです。
ところがどっこい、後に経済企画庁長官まで務めるエコノミスト・宮崎勇が1993年に初版を出した『世界経済図説』は、以来ずっと版を重ね、この4月には共著者の田谷禎三が改訂した第四版が登場した。
役人、記者に金融マン、『ゴルゴ13』の原作者、そういう玄人だけじゃなく、日曜投資家から学生まで素人も手に取るのには理由がある。ひとつのテーマを見開き2頁で扱い、右頁が解説・左頁が図表というフォーマットのよさ、そのコンパクトな原稿&図表の的確さ、そして何より、計100あるテーマの広さ(狭義の経済の枠を超えてます)。
これ一冊読み通せば、トランプノミクスから一帯一路まで正しく恐れられるうえに、サイズは昔と変わらぬ200頁ちょっとの新書判。まだ手に取ったことのないアナタに、かつて生意気な中学生時代があったのなら、絶対のお薦めです。