『東アジアからみた「大化改新」』仁藤敦史著
[レビュアー] 産経新聞社
「大化改新」の背景には、東アジア世界の緊張があった。古代の日本になぜ政治改革が必要だったのか。超大国・隋唐帝国の成立と隋唐帝国による高句麗征討という当時の国際情勢から読み解く。
大化改新は中大兄皇子らが蘇我氏を倒した「乙巳(いっし)の変」(645年)に始まり、公地公民制などの方針が示された。当時、蘇我氏主導の親百済外交が行き詰まり、親唐・新羅派が台頭していた。だが、高句麗などに比べ日本の緊張度は低かった。改新政権内で親百済派が復活。路線対立から分裂外交となったという。古代の対外危機が現在の緊迫する東アジア情勢と重なる。(吉川弘文館・1870円)