<書評>『民主主義のミカタ 宇野重規×岸本聡子』宇野重規・岸本聡子 著

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民主主義のミカタ 宇野重規✖岸本聡子

『民主主義のミカタ 宇野重規✖岸本聡子』

著者
宇野重規×岸本聡子 [著]
出版社
東京新聞出版(中日新聞東京本社)
ジャンル
社会科学/社会
ISBN
9784808310820
発売日
2023/03/24
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

<書評>『民主主義のミカタ 宇野重規×岸本聡子』宇野重規・岸本聡子 著

[レビュアー] 落合恵子(作家)

◆当事者意識をいつも

 この政治に、この社会に、大いなる違和感と憤りを覚えながらも、そのひどさにもう慣れてしまっているのか。根っこはひとつだと思うが、ウクライナの現状に乗じたとしか思えない「便乗型の軍拡」。いったい、誰のために? 

 福島原発過酷事故から十二年。なにも解決していないにもかかわらず、平然と政府が言いだした原発回帰。

 わたしたちが暮らしているのは民主主義の社会ではなかったか? 

 突破口に当たる解決の糸口は本書の中に。草の根民主主義を体現する区長と本紙でもおなじみの優れた政治学者のコラボである。やさしい言葉で記され、語られる、「わたしたちそれぞれの民主主義」。

 なによりも当事者意識のかけがえのなさについて触れた箇所が心に響く。本書の後半にあたる対談のタイトルは「路上の民主主義」。当事者はむろんそれぞれのわたし自身。

 「民主主義はいつだって考えていなくては」と伝えてくれる好著。間もなく統一地方選の投開票日を迎える。

(東京新聞・1540円)

宇野は東京大社会科学研究所教授。岸本は杉並区長。

◆もう1冊

宇野重規著『そもそも民主主義ってなんですか?』(東京新聞)。知識ゼロから分かる解説書。

中日新聞 東京新聞
2023年4月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

中日新聞 東京新聞

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