いまや日本の「国民食」の一つとも言えるポテトチップス。戦後、占領軍の需要に応じる形で日本でも製造が始まったが、ジャガイモをコメの代用食とした戦中の記憶から、当初は忌避感も抱かれたという。
高度成長期には次第に受容され、昭和50年代には一気に大衆化が進む。背景には、食糧難の解消による甘味からしょっぱさへの嗜好(しこう)の変化があったと著者はみる。幼少期からポテトチップスに親しむ団塊ジュニア世代の成長とともに国民食の地位を固めるが、平成期には「ジャンクフード」批判の逆風も浴びる。胃袋から見た戦後史だ。(朝日新書・1045円)
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2023年6月11日 掲載
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