『ポテトチップスと日本人』稲田豊史著(朝日新書)

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ポテトチップスと日本人

『ポテトチップスと日本人』

著者
稲田豊史 [著]
出版社
朝日新聞出版
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784022952110
発売日
2023/04/13
価格
1,045円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

『ポテトチップスと日本人』稲田豊史著(朝日新書)

[レビュアー] 池澤春菜(声優・作家・書評家)

 先日、中国のキュウリ味のポテトチップスを食べた。味の感想は言わない。察してほしい。とはいえ、日本にも「わさビーフ」や苺(いちご)のショートケーキ味、チョコレートコーティングなんかがある。あまり余所(よそ)のことは言えない。

 日本ではいつからポテトチップスが作られるようになったのか。そしてなぜ独自フレーバーが次々生み出されているのか。その謎にぐぐいっと迫った本書。

 日本食化し、大衆化し、プラットフォーム化し、ジャンクフード化し、そしてついに国民食化したポテチ。日本の食文化にポテチを根付かせた「一の矢」が「余り気味のジャガイモ」、「二の矢」が「飽食の時代に求められたしょっぱさ」であったのならば、「三の矢」は間違いなく「フレーバーバリエーションの多様化」である。ポテチを追っていくと、歴史と政策、日本人の本質が見えてくる。

 ちなみにわたしも、本書に出てくる食べ比べパーティをやったことがある。手に入る限りの海苔(のり)塩味に十数人が夢中になった。本書を読んでポテチ欲が高じたので、近々また開催しようと思う。今度は一人で。

読売新聞
2023年7月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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