『とまる、はずす、きえる』
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『とまる、はずす、きえる』宮地尚子・村上靖彦著
[レビュアー] 産経新聞社
東日本大震災などの災厄、ヤングケアラー、認知症…。精神科医と、現象学の視点で医療・福祉の分野を調査してきた大学教授が、トラウマやケアを巡るさまざまな問題について語り合った対談集。
題名にあるように、人と世界との関係を表す動詞が対談の軸になっている。例えば、「とまる」については「制度とか規範の流れの外に出ようとする」抵抗の動き、とも捉える。対象から距離を置く「はずす」では「ふっと軽くなったり、笑ったりする」ユーモアの効用を語り合う。消極的なイメージで捉えられがちな動詞に潜む豊かな可能性が見えてきて、興味深い。(青土社・2200円)