『戦略物資の未来地図』小山堅著
[レビュアー] 産経新聞社
ロシアのウクライナ侵攻を契機に資源を巡る国際情勢が変化する中、石油や再生可能エネルギーなどを戦略物資とした上で、各国の動きを読み解く。先の大戦や第1次石油危機を例に、なぜ資源が戦略物資になるかも説明しており、専門知識がなくても読みやすい。
中国は石油調達先の分散を図り再エネも拡大。日本は米国のシーレーン保護の下で中東から石油を調達しているが、中東で米国の存在感が弱まったと警鐘を鳴らす。著者はエネルギー政策の研究者。化石エネルギーか再エネかのような二元論的議論の行き詰まりと、政治や技術など多角的視点の必要性を訴える。(あさ出版・1760円)