古今東西の名著を分かりやすく解説するNHK・Eテレ「100分de名著」。その担当プロデューサーが番組制作の舞台裏をつづっている。カミュの「ペスト」の記述は新型コロナウイルス禍の現実と重なるし、ル・ボンの「群衆心理」には対立意見が先鋭化し分断が進むSNS(交流サイト)時代を見通す視点がある。著者は、はるか昔に書かれた作品が「現代社会のありようを予言するかのように言い当てている」ことに驚き続けたという。
放送の中で、シェークスピア作品の“新解釈”が生まれたことも。そんな懐の深さも名著の魅力だろう。(幻冬舎新書・1100円)
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2023年7月2日 掲載
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