『南北朝正閏問題』千葉功著

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南北朝正閏問題 ――歴史をめぐる明治末の政争

『南北朝正閏問題 ――歴史をめぐる明治末の政争』

著者
千葉功 [著]
出版社
筑摩書房
ISBN
9784480017796
発売日
2023/07/14
価格
1,760円(税込)

『南北朝正閏問題』千葉功著

[レビュアー] 産経新聞社

日本の南北朝時代において、南朝と北朝のどちらが正統か。前近代から議論になったこの「正閏(せいじゅん)問題」をめぐり、明治末に時の内閣を揺るがす大論争が起きた。そのきっかけは、国定教科書の記述。南朝正統論が支配的な世相にあって、南北朝が並立していたとする内容が盛り込まれたことだった。

まず民間の教育関係者が火をつけ、メディアが拡散。議会で政争の具と化し、世論は炎上。最終的に教科書改訂で政治決着が図られた。「国家介入による学問弾圧」という単純な構図でなく、介入を求めたのは専ら民間側だったという、現代に通じる問題も浮かび上がらせる。(筑摩選書・1760円)

産経新聞
2023年8月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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