『氷室冴子とその時代 増補版』
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『氷室冴子とその時代 増補版』嵯峨景子著
[レビュアー] 産経新聞社
少女小説『なんて素敵(すてき)にジャパネスク』や、スタジオジブリのアニメにもなった青春小説『海がきこえる』で知られる作家、氷室冴子(1957~2008年)の評伝。生い立ちから集英社コバルト文庫の看板作家として活躍した1980~90年代、最晩年の闘病期までを網羅した。詳細な調査を基に、作品だけでなく執筆時の社会状況や同時代の氷室に対する評価も取り上げており、少女小説ブームの熱気を感じる。資料としての価値も高い。
令和元年刊行の単行本が版元を変えて再刊。出版各社で氷室を担当した編集者や仕事で関わった作家らに追加取材を行い、増補した労作だ。(河出書房新社・2640円)