【気になる！】文庫『母影（おもかげ）』尾崎世界観著

シンガーソングライターの著者は人気ロックバンド「クリープハイプ」で活動する傍ら、小説でも高い評価を得てきた。本作は芥川賞候補にも選ばれて話題になった中編小説だ。

主人公である小学生の「私」の居場所は、母親が勤めているマッサージ店。「私」は店のカーテン越しに映る母の影を日々観察している。時折、不思議な会話も漏れ聞こえる。母は何をしているのだろう？

経済的に困窮したシングルマザーの秘密を、そばに寄り添う孤独な少女の澄んだ目で巧みに描く。ひらがなや擬態語を多用する独特な語り口に、繊細な言語感覚がうかがえる。（新潮文庫・６０５円）

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