小説や映像作品、漫画といった「虚構」には今、どんな価値があるのか? 気鋭の評論家が、現代を代表する人気作品を分析しながら論じている。
収録された30編に上る評論の視点はユニークで示唆に富む。大ヒット漫画『SPY×FAMILY』の深層に、戦後的な核家族への幻想を読み取る。ドラマ「First Love 初恋」を一気に見て、個人の夢や恋愛と世界との関係を考える。「私たちは、虚構だからこそ描き出せるものに触れることで、はじめて現実に対抗(対応)し得る」と著者。虚構に身を浸す喜びを教えてくれる。(ハヤカワ新書・1078円)
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2023年9月3日 掲載
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