お祭りの屋台の定番で、即席麺でも絶大な人気を誇るソース焼きそば。ただ、その起源や全国に広まっていく過程には謎も多い。
「戦後の大阪発祥」という通説もあるが、著者は史料をひもとき、大正時代の初期にすでにソース焼きそばが提供されていた可能性を検討する。誕生の謎を解くカギは、材料となる小麦粉。そこから関税自主権、東武鉄道といった意外なキーワードが浮かぶ。
なぜしょうゆではなくソースが使われたのか、という素朴な疑問も掘り下げる。食文化を巡るノンフィクションだが、スリルに満ちた歴史ミステリーのような趣がある。(ハヤカワ新書・1100円)
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2023年9月17日 掲載
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