『領怪神犯2』木古おうみ著(角川文庫)

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領怪神犯2

『領怪神犯2』

著者
木古 おうみ [著]/syo5 [イラスト]
出版社
KADOKAWA
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784041137994
発売日
2023/07/21
価格
726円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

『領怪神犯2』木古おうみ著(角川文庫)

[レビュアー] 宮部みゆき(作家)

 八百万(やおよろず)の神々がおわします我が国には、神々の数だけ多様な奇跡が発生する。その奇跡が人や社会に脅威を与えるものだった場合、対処は非常に難しくなる。神様は祓(はら)えないからだ。

 この困難なミッションにあたるのが、存在を秘匿された公的機関「領怪神犯特別調査課」だ。シリーズ始めの前作は、片岸・宮木という男女の調査員コンビが、神々の力が引き起こす奇怪で危険な超常現象に対峙(たいじ)するエピソードを集めた短編集だった。第二巻の本書もその続きかと思いきや、作中の時間は冒頭で二十年前へと巻き戻され、霊感商法の容疑で警察に逮捕された烏有定人という青年が、元刑事と民俗学の准教授に引き合わされるところから物語がスタートする。三人が身を置くことになるのは「領怪神犯対策本部」。そう、本書は前作の前日譚(たん)で、特別調査課ができるまでの経緯が描かれている。

 次々と確認される不気味で謎だらけの奇跡と、その先に待ち受ける驚きの結末。刊行順に読んでもよし、あえて本書から読んでもよし。徹夜上等、民俗学ミステリーに新たな視点を見出(みいだ)した大注目のシリーズだ。

読売新聞
2023年9月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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