脳が疲れて眠れない→熟睡に変える!5つの「睡眠改善」習慣

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脳のゴミを洗い流す「熟睡習慣」

『脳のゴミを洗い流す「熟睡習慣」』

著者
奥村 歩 [著]
出版社
すばる舎
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784799111642
発売日
2023/10/06
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

脳が疲れて眠れない→熟睡に変える!5つの「睡眠改善」習慣

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

睡眠は、仕事のパフォーマンスを上げるためにも、また健康のためにも非常に大切。しかし、そうであるにもかかわらず、大半の日本人は睡眠をそこまで重要視していないーー。

脳のゴミを洗い流す「熟睡習慣」』(奥村 歩 著、すばる舎)の著者は、そう指摘しています。

「もの忘れ外来」を中心に診療しているという脳神経外科医。特筆すべきは、受診者の変化です。「もの忘れ外来」を創設した20年前は訪れる方の大半患者が認知症の高齢者だったものの、この10年は20代〜60代(若年者層)の受診者が全体の半分を占めるようになったというのです。

いうまでもなく、認知症になるにはまだまだ若すぎる世代。しかも、この世代の方々の記憶力・判断力・コミュニケーション力の低下の原因の多くは、「睡眠負債による脳過労」なのだとか。複雑な情報化社会、あるいは時代を覆う不安感などの影響で、現在の日本人の脳は疲れ切っているということのようです。

脳過労では、元気がなくなってしまう。脳の疲れをとり、その機能を回復させる最大の武器は「良い睡眠」であり、睡眠の究極の目的は「脳のメンテナンス」なのです。それなのに、日本人の睡眠は充実していません。(「はじめに」より)

睡眠不足が蓄積され心身に不調が出てしまうことを「睡眠負債」と呼びますが、著者によれば日本人は睡眠負債のリスクがもっとも高い国民。しかし睡眠負債では必然的に脳過労をきたし、それが万病のもととなることもあるそう。

なぜなら脳は人間の知能・意欲・希望・感情をコントロールしているだけでなく、身体の司令塔でもあるから。また、生活習慣病のリスクを高めることにもなるようです。

そこで本書では、睡眠負債のメカニズムと実態、克服法をさまざまな角度から紹介しているわけです。きょうは第5章「薬に頼らず『ぐっすり眠る』ための実践法」内の「生活習慣を改善すれば薬はいらない」の全8項目のなかから、5つをピックアップしてみたいと思います。

1. 昼間の活動量を増やす

昼間に活動することは、ノルアドレナリンやセロトニン、ドーパミンの分泌を増やすことになるのだそうです。

つまり、規則正しく過ごして生活リズムを保ち、身体や脳に刺激を与えて日中の覚醒を維持することが大切だということです。(225ページより)

2. 朝の太陽を浴びてメラトニン分泌を高める

朝起きてから太陽の光を浴びることは、夜にメラトニンのスイッチを入れるために重要。毎日決まった時刻に起きる生活習慣を身につければ、睡眠時間も安定するそうです。

また、夕方にかけては休息モードを心がけ、スマホなどの強い光を見ないことも重要なポイント。せっかくメラトニン分泌が増えてきても、強い光を浴びるとメラトニン分泌が抑えられ、寝つきが悪くなってしまうというのです。(227ページより)

3. 規則正しい食習慣でオレキシンをコントロールしてレプチンを増やす

「決まった時間に食事をし、よく味わい、噛んで食べる」という食習慣は、オレキシンとそれに伴う筋肉での糖代謝を活性化させるのだといいます。それは、オレキシンが脳の視床下部の接触中枢にあり、覚醒・睡眠のコントロールだけでなく、情動やエネルギーバランスに応じて接触行動もコントロールするから。(228ページより)

4. 就寝時に空腹のまま寝ない。血糖値を上げ過ぎないものを少し食べる

空腹で眠れない場合は、「血糖値をゆるやかに上げる食べもの」を寝る1時間くらい前に食べたほうが寝つきはよくなるそう。なお、「血糖値をゆるやかに上げる食べもの」であることには意味があるようです。

甘いものなどを食べて血糖値スパイク(食後の血糖値が急上昇、急降下を起こすこと)の状態で寝てしまうと、血糖値が2〜3時間後に下がり、オレキシンが活性化して目が覚めてしまうことになるというのです。

そのため牛乳、ヨーグルト、チーズ、キウイフルーツ、いちご、りんご、ブルーベリー、ナッツ類など低GI食品を食べ、ゆるやかに血糖値を上げることが重要なのです。(229ページより)

5. 腸活で自律神経をととのえる

身体の各器官の生命活動を維持するため、自分の意思とは無関係に絶えず働き続けているのが自律神経。しかし個人差はあるものの、女性は40代、男性は30代からその働きが落ち始めるのだそうです。

自律神経は、交感神経と副交感神経とに分かれ、前者は心身の活動性を高めるために、後者は休養のために働きます。健康のためには両者のバランスが重要ですが、加齢とともに副交感神経の働きが下がり、そのバランスが崩れがちになるのです。

そこで、自律神経を整えるために著者が勧めているのが「腸活」。腸の蠕動(ぜんどう)運動が活発になると、副交感神経が優位になるからです。

具体的には、納豆、キムチ、ヨーグルトなどの発酵食品や、キウイフルーツ、りんご、きのこ類、豆乳などの食物繊維、そしてオリーブ油を毎日の食事に取り入れるようにするといいようです(231ページより)

これらのような「ちょっとしたコツ」を試してみれば、無理なく「熟睡習慣」を身につけることができるかもしれません。病気の予防などにつながっていくだけに、眠れないとお悩みの方は試してみるべきではないでしょうか?

Source: すばる舎

メディアジーン lifehacker
2023年10月11日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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