『アメリカ文学と大統領 文学史と文化史』
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『アメリカ文学と大統領』
[レビュアー] 産経新聞社
歴代の米大統領と文学との関係について考察した論文を収める。大統領は行政府の長であり、軍の最高司令官でもある。その政策の影響は、小説の登場人物の姿にもにじみ出る。
例えば、オードリー・ヘプバーン主演で映画化されたカポーティの『ティファニーで朝食を』。1940年代を生きるヒロインは、身軽に旅に出て、果てはアフリカまで赴く。この行動からは、第33代大統領トルーマンによる「反共封じ込め政策」が招いた抑圧的な風潮から逃れようとする姿勢も読み取れるという。通読すれば、米国の社会と文学との密接な関係も見えてくる。(巽孝之監修/南雲堂・6380円)