「個人情報がわかるものをそのまま捨てている人が多い」マシンガンズ・滝沢秀一が語った、ゴミ清掃の経験が反映されたホラー小説とは?

インタビュー

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かごめかごめ

『かごめかごめ』

著者
滝沢秀一 [著]
出版社
双葉社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784575524321
発売日
2020/12/10
価格
759円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

ゴミ清掃を始めて感じた「ゴミは個人情報の宝庫」という気付き。ストーカーがそれを応用したら…ゴミホラー小説『かごめかごめ』滝沢秀一インタビュー(前編)

[文] 双葉社


──北野武監督が『アウトレイジ』で「殺し方大喜利」をやっていたような。

滝沢:恐れ多いですけど、感覚としては近いかもしれないです。

──主人公はストーカーなのに、緊張感の出し方でうっかり感情移入してしまいます。

滝沢:自分が人を殺してしまったことがバレたくなかったら、どうやって死体を処理するんだろう、と想像しながら書きました。執筆期間の約2カ月は殺人者の気持ちで過ごしていたんです。

──エグい描写も多いですよね。

滝沢:学生も読むだろうと思って、表現を抑えたつもりなんですけど、十分エグかったみたいですね(笑)。

──何かを参考にしたんですか?

滝沢:ホラー映画はちょこちょこ観てました。おふくろが『13日の金曜日』とビートたけしさんの番組が好きで、小さい頃から一緒に観ているうちに「ホラー」と「お笑い」が刷り込まれたんです。『13日の金曜日』も「殺し方大喜利」じゃないですか。

──『かごめかごめ』は途中で大きな仕掛けがあります。

滝沢:書いているうちに構想していたプロットから外れていって。しかも、主人公に名前をつけないままだったんです。「どうしようかな」と考えた時、あの仕掛けが浮かびました。それも大喜利なのかもしれません。

──後半はホラーのテイストが変わっていきます。

滝沢:閉鎖された村って怖いじゃないですか。人間関係がこじれてしまったら行き場がなくなる。昔もいまも現実にあるホラーですよね。

──コロナ禍で、そんな報道がありましたからね。

滝沢:そうそう。人間って怖いなと思います。

──『かごめかごめ』は、2012年から始めたゴミ清掃の仕事がストーリーに反映されています。

滝沢:ゴミ清掃の仕事をやって最初に感じたのは、個人情報がわかるものをそのまま捨てている人の多さ。ストーカーが名前と電話番号が書かれた請求書を見つけたらどうするんだろうと思って。それが『かごめかごめ』につながるんです。小説を書く前にシュレッダーを買いましたけど(笑)。

──ゴミ清掃の仕事があったから『かごめかごめ』が生まれたんですね。

滝沢:知らない世界を取材するのは面倒くさいけど、自分が知っていることなら書きやすい、という理由ですけどね(笑)。ゴミ清掃の仕事を10年以上経験しているいまのほうが、もっと上手く描写できるかもしれない。ゴミ関係の本を13冊くらい出してますから。

 ***

滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)プロフィール
1976年生まれ、東京都出身。1998年に西堀亮とお笑いコンビ「マシンガンズ」結成。2012年から芸人と並行してゴミ収集会社に就職。『このゴミは収集できません』(白夜書房)『ゴミ清掃員の日常』(講談社)など、ゴミ収集中の体験を記した書籍を多数出版。2023年『THE SECOND~漫才トーナメント』(フジ系)でマシンガンズが準優勝に輝く。

2023年8月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

双葉社

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