失敗の経験も人生の楽しみ…『大ピンチずかん』著者・鈴木のりたけが語る“子どもの失敗”への向き合い方

インタビュー

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大ピンチずかん

『大ピンチずかん』

著者
鈴木 のりたけ [著]
出版社
小学館
ジャンル
芸術・生活/絵画・彫刻
ISBN
9784097251385
発売日
2022/02/16
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

大ピンチずかん2

『大ピンチずかん2』

著者
鈴木 のりたけ [著]
出版社
小学館
ジャンル
芸術・生活/絵画・彫刻
ISBN
9784097252436
発売日
2023/11/22
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

子どもも大人も楽しめる!絵本『大ピンチずかん』鈴木のりたけさんにインタビュー!

[文] 日本出版販売(日本出版販売)

2023年の年間ベストセラー(日販調べ)児童書部門1位、総合部門2位となった鈴木のりたけさんの絵本『大ピンチずかん』(小学館)。昨年11月に発売された続編『大ピンチずかん2』も、ベストセラーとなっています。

同シリーズでは、牛乳をこぼす、シャンプーが目に入るなどの子どもが出くわす「大ピンチ」を分類してユーモラスに紹介しつつ、「大ピンチ」がこわくなくなるように解き明かしていきます。誰もが子どもの頃に経験した「あるある!」が詰まっていて、子どもから大人まで楽しめる内容です。

作品はどのようにして生まれたのか、また3児の父である著者の鈴木さんがどのような気持ちで日々の子育てに向き合っているのか、ご本人に伺いました。

(前後編の前編)

絵本は子どもに「はい、楽しみなさい」と与えるものではない

――シリーズ累計発行部数が100万部を突破した『大ピンチずかん』のヒットをどのように受け止めていますか。

作る前はこんなふうになるとはまったく思っていなかったです。編集者と「こんなことができたらおもしろいよね」と構えず楽しみながら作っていたので、最初は意外だなと驚きました。

ただ、いろいろな人の感想を聞いたり反応を見たりしていると、みなさん自分の身に引きつけて話しやすいのか、「そういえば僕の大ピンチはこんなことがあってね」と会話のネタになっているようです。要はあるあるネタなので、人々の口に上りやすい力があったことが、このような結果につながっているのかもしれません。

それと、絵本作りにおいては子どもも大人も楽しめることをずっと意識しているので、それがコンテンツとしてわかりやすい形でハマったなと感じています。

――子どもだけでなく、大人も楽しめることを意識されているのはなぜですか。


アトリエでインタビューに応じる鈴木のりたけさん

僕自身が大人であり、作品も作り手がおもしろいと思えるものであるべきだろうというのがまず一つの理由です。

もう一つは、絵本は子どもに与えて「はい、楽しみなさい」というものではなくて、「あの本にこんなことが書いてあったよね」「お父さんはこっちのほうがおもしろいと思う」と、大人と子どもが会話する共通のネタになる力があります。そのためには、子どもの趣味だけだとなかなか世代を超えた会話は生まれないですし、大人の趣味だけではもちろん子どもには伝わりません。うまい具合にその両方を併せ持っていることが必要だと思っています。

――確かに『大ピンチずかん』の読者から、トラブルが起きるたびに「今のは大ピンチレベル~だね」と親子で一緒に楽しめるという声が聞こえてきます。

そうやって「大ピンチ」と口に出すだけでもだいぶ気持ちが楽になりますよね。小学4年生になる息子も、いまだに「うわー、大ピンチ」とよく言っています。何か失敗した時に、「隠さなきゃ」と思うか「もう、大ピンチ(笑)」と周りを巻き込んでしまうか、最初に自分の心の向きをどちらの方向に持っていけるかが大事なのではないでしょうか。

取材・構成:ほんのひきだし編集部 猪越

Book Bang編集部
2023年12月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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