『仏像再興 仏像修復をめぐる日々』
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『仏像再興 仏像修復をめぐる日々』牧野隆夫著
[レビュアー] 産経新聞社
仏像ブームといわれて多くの人が考えるのは、京都・奈良の有名寺院や博物館で鑑賞する仏たちだろう。だが、全国各地には数百万体もの無名の仏像がいるという。
著者は「仏像の町医者」たる修復家。国宝、重文のような公的支援も差し伸べられず、損壊したまま地方の寺に残る仏像の修復に、30年以上にわたり取り組み、後進の指導にも当たってきた。
昔の人が「再興」と呼んだ仏像修復。過去の痕跡を読み解き、未来に伝える形を選択する行為であるとともに、修理が人の気持ちを結集し「良好な人的保存環境」を築く重要な機会であることも分かる。(山と渓谷社・1800円+税)