女優の杏 黒柳徹子さんの語る紛争に巻き込まれる子どもたちの現状に「できることないのかな」

テレビ・ラジオで取り上げられた本

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 女優の杏さん(30)とナビゲーターの大倉眞一郎さんが毎週1冊ずつ本を持ちより紹介するJ-WAVEの番組「BOOK BAR」。2月5日の放送で杏さんは黒柳徹子さんと田原総一朗さんが戦争体験を語った一冊を薦め、戦争に巻き込まれる子どもたちについて「できることないのかな」と語った。

■黒柳徹子と田原総一朗が語る戦争体験

 杏さんは「くり返さないために、そして増やさないために、話を聞きましょう」と『トットちゃんとソウくんの戦争』黒柳徹子[著]田原総一朗[著](講談社)を紹介した。黒柳さんと田原さんは1歳違いの同世代。東京で何不自由のない暮らしをしていた黒柳さんは疎開先で「1日に大豆15粒」の食糧難に遭い、戦争のつらさと平和の尊さを実感する。軍国少年だった田原さんは敗戦によって大人たちの言うことが一変し価値観を揺さぶられる。戦争経験者2人が、それぞれの視点で平和への願いを語り尽くした一冊だ。

 杏さんは「とにかく徹子さんの語り口が読みやすくてすごく面白い。田原さんは世相も反映しながら説明してくださって、緩急のバランスがすごく絶妙な本。若い人向けでもある」と薦めた。

■犠牲になる子どもたち

 ユニセフの親善大使でもある黒柳さんは太平洋戦争だけではなく、現代も続く世界中の紛争のなかで子供たちがどのようなめにあっているか、各地域について数ページでまとめている。また「徹子の部屋」のゲストたちの戦争体験も掲載されている。

 紛争で犠牲になる子どもたちの実状を読んだ杏さんは「日本だと飢えてしまうというのは縁遠いけど、(紛争地域では)子どもたちは眠れない、暖かいところにいさせられない。おなかをすかせてしまう。あっちゃならない。できることないのかな、エゴかもしれないけど」と自身に子どもが生まれたからこそ身にしみて感じるようになったと語る。そして同書の中で中国に子どもたちを置き去りにせざるを得なかった中国残留孤児問題の辛い現実を知り、「読んで追体験しないとだめですね」と戦争に巻き込まれる子どもたちの悲惨さに身を切られるようだったと語った。


■むき出しの欲望が絡み合うクライムノベル

 大倉さんは「行きずりのスナックで人生が変わった」と『籠の鸚鵡』辻原登[著](新潮社)を紹介した。バブル期の和歌山を舞台にヤクザ、ホステス、不動産業者、役人、それぞれの欲望と思惑が絡み合うクライムノベル。和歌山県下津町の出納室長・梶はスナックのママ・カヨ子から淫靡な手紙を受け取る。梶はカヨ子の情夫によって仕組まれた色仕掛けにはまり、愛欲の渦巻く犯罪の世界に転がり落ちる。罠を仕掛けたヤクザの情夫もまた山口組の分裂に伴う「山一抗争」に巻き込まれ、物語は緊迫のヤクザ小説へと転じてゆく。神秘的な和歌山の山中を舞台に詩的なイメージが抽象的に重ねられ、凡百のクライムノベルとは一線を画しているのも特徴的だ。

 大倉さんは「人間には開けてはいけないパンドラの箱ってあるよね」と語り、梶は行きずりのスナックでパンドラの箱を開けてしまい「想像もしていなかったような欲望が飛び出してしまう」とその恐ろしさを語りながら一読を薦めた。

 Book Bangでもミステリ評論家の千街晶之さん、コラムニストの香山二三郎さん、学習院大学教授の中条省平さんらが書評を寄せ、いずれも絶賛している。

千街晶之さん(文芸評論家・ミステリ評論家)レビュー
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◆犯罪に揺さぶられる運命
 辻原登の新作長篇『籠(かご)の鸚鵡(おうむ)』は、帯の惹句(じゃっく)では「クライム・ノヴェル」と銘打たれている。もちろんそれは正しいけれども、ミステリ専門の作家が書けばこうはならないだろうという、端正でありながらどこか歪(いびつ)な魅力を持つ作品なのも事実だ。…
https://www.bookbang.jp/review/article/521456
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香山二三郎さん(コラムニスト)レビュー
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 純文学系作家のミステリー作品が話題に上るケースが増えている。吉田修一の『悪人』然り。中村文則『悪と仮面のルール』然り。若手(!?)だけではない。芥川賞を始め数々の文学賞に輝くベテラン辻原登も積極的に犯罪小説に挑んでいるひとりだ。本書も「著者の新たな到達点を示す、迫真のクライム・ノヴェル」と謳われている。…
https://www.bookbang.jp/review/article/521390
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中条省平さん(学習院大学フランス語圏文化学科教授)レビュー
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 辻原登は現代日本の純文学を代表する作家で、とくに波瀾万丈かつ詩的香気にみちた歴史ロマンで有名ですが、ここ数年、純文学とエンタテインメントを途方もない筆力で融合させるクライム・ノヴェルの執筆に力を注ぎこんでいます。本作は、その辻原登独自の犯罪小説シリーズの新作、『冬の旅』と『寂しい丘で狩りをする』につづく待望の第3弾です。…
https://www.bookbang.jp/review/article/518548
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 3週連続ゲストの清水節さんが『私の消滅』中村文則[著](文藝春秋)を紹介。また三省堂書店の内田剛さんが『シブいビル 高度成長期生まれ・東京のビルガイド』鈴木伸子[著]白川青史[写真](リトル・モア)を紹介した。

BOOK BAR」はJ-WAVEにて毎週日曜0時(土曜深夜)から放送中。またradikoのタイムフリー機能を使い、過去1週間以内の放送を聴取することもできる。聴取はradikoのスマートフォンアプリや下記のURLから。
http://radiko.jp/#!/ts/FMJ/20170205000000

BookBang編集部

Book Bang編集部
2017年2月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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