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- 駅格差
- 価格:902円(税込)
引っ越しや一人暮らし、さらにはマンションやマイホームの購入など、住む場所を決める際には、使いやすい鉄道路線や、駅前が充実している駅を基準に探す人は多いのではないだろうか。特に、毎日の生活、特に食事や日用品の購入の際に欠かせないのが、駅前にあるスーパーマーケットだ。同じ駅前に、複数のスーパー、それも充実したスーパーがあると、住民としては本当にありがたい。ここでは、首都圏の沿線の「勝ち組」と「負け組」を豊富なデータとユニークな視点から採点してベストセラーとなった『沿線格差』の著者で、最近その続編となる『駅格差』を執筆した首都圏鉄道路線研究会の一員である小林拓矢さんに、駅前スーパーが充実している駅をランキング形式で紹介いただいた。
山手線の外側は、駅前スーパーが充実している
駅前スーパーが多いのは、郊外や住宅地の駅である。23区で考えると、山手線の内側には中小規模のスーパーはあっても大規模な駅前スーパーはなく、山手線の外側の駅で駅前スーパーが充実している。ハイソな雰囲気の西側でも、庶民的な雰囲気の東側でも、充実しているところが多い。
気になる駅前スーパーの充実度ランキングは、以下のとおりだ。
1位 赤羽
2位 大井町
3位 亀有
4位 金町
5位 成増
ランキングの基準は、スーパーの数だけではなく、生活をするのに使い勝手の良いスーパーがあるかどうかも考慮し、充実度を勘案して決めた。
1位は赤羽駅だ。埼京線・湘南新宿ライン・上野東京ライン・京浜東北線が乗り入れるこの駅には、東口にダイエーと西友、西口にイトーヨーカドーがある。東口の2店舗は小さな店だが、西口のイトーヨーカドーはたいへん大きな売り場面積の店舗である。
西口のイトーヨーカドーは総合スーパーとなっており、食品のみならず生活に必要なさまざまなものを扱っている。東口の西友は価格の安さとクレジットカード、「ウォルマートカード セゾン」の割引率の高さで人を集めている。
2位の大井町駅は、西口にイトーヨーカドー、東口に西友と大きなスーパーが2つある。このほか、肉のハナマサには肉が充実しており、アワーズイン阪急にある大井食品館では高級食料品の品ぞろえがよい。
一方、3位には北側の亀有が入ってくる。亀有駅前には、イトーヨーカドーがある。同じ建物にはニトリやノジマもあり、やはり生活のためのものを買うのには便利な店となっている。
さらに駅から歩いてすぐのところに、ショッピングモールのアリオ亀有がある。イトーヨーカドーをメインとするアリオ亀有は、映画館などを併設した本格的な郊外型のショッピングモールであり、さまざまな生活スタイルの人でも、いるだけで楽しめる。フードコートも広く、郊外感覚、もっといえば地方の感覚を味わうには、アリオ亀有は最適のところだ。
4位の金町は東急ストア、マルエツ、イトーヨーカドーと、さまざまな駅前スーパーがあり、比較が可能だ。
5位は成増だ。西友、業務スーパー、ダイエー、マルエツと駅前スーパーが多い。以前は東急ストアもあった。成増は都内でも家賃が安く、暮らしやすいところのひとつと言えるだろう。
京浜東北線・品川駅より南側は、さらに充実
そのほかの地域で見ると、京浜東北線の品川駅より南側は人口が多く、スーパーマーケットの充実ぶりが目を引く。
大森駅には安さを売りにするオオゼキ、西友。少し駅から離れているが、イトーヨーカドーもある。
蒲田駅は周辺に商店街が広がっていることで知られている。もちろん、スーパーも負けてはいない。JR蒲田駅と直結する、東急蒲田駅には、東急ストアが併設されている。駅の中にあるという複雑な構造を利用して、高級食材と一般食材の売り場を別々に分け(ただし東急ストアは一般の食材も若干高めだ)ている。また生活用品の売り場もある。さらには東急プラザに駅ビルの役割を担わせている。グランデュオ蒲田にも隣接し、お惣菜には困らない。駅から少し歩くとマルエツや、ライフもあり、商店街とあわせると買い物には困らないといったところか。
一方、23区外であれば、武蔵小杉、調布、仙川が注目の駅だ。
HOME’Sの「買って住みたい街ランキング」で、2015年に3位に浮上した、いま注目の武蔵小杉は、駅前スーパの充実ぶりが目をみはるようだ。マルエツ、フーディアム、イトーヨーカドー、東急ストアなどがあり、再開発が進み拠点性が高まる駅周辺の住民の食生活に寄与している。タワーマンションに暮らす子どもたちの胃袋は、こういったお店での食材によってまかなわれている。
調布は、筆者のよく利用する駅だが、パルコの地下に食品売り場があり、価格は高いがいいものがそろっている。パルコの近くには西友があり、低価格路線で多くの人を集めている。また東急ストアもあり、上質な品物が多い。さらに2017年秋にオープンする「トリエ京王調布」には、高級スーパー成城石井も入る。
仙川駅には、京王ストア、西友、丸正と、一般的なスーパーが多くある。とくに京王ストアは、駅の建物に直結している。さらに、クイーンズ伊勢丹という高級スーパーもある。生鮮食料品の値段は高いがいいものが多く、一般家庭に暮らす人が特別な料理の腕をふるうために食材を求めるならば最適の店である。仙川は高級住宅街として知られており、そこに住むハイクラスな人がこういった店を支えるのであろう。
鉄道系スーパー、自社系列のクレジットカードが使いやすいのはドコ?
鉄道会社は、多くは関連企業としてスーパーマーケットを持っている。もちろんその多くは、それぞれの路線の駅周辺にある。駅の建物と一体になっている店も多い。
そしてそのスーパーでは、鉄道会社系列のクレジットカードを使用すると、割引率が高くなったり、ポイントが多くついたりする。そのカードではもちろん、定期券の購入もできる。定期券の購入には比較的お金がかかるので、そのぶんのポイントをためて、商品券に変えたり、買い物をしたりということもできる。
では、それぞれの鉄道系スーパーとカードは、どこが充実しているのだろうか。ランキングは以下になる。
1位 東急電鉄
2位 京王電鉄
3位 小田急電鉄
クレジットカードが充実しているのは東急だ。現金(と電子マネー)専用のポイントカードはあるものの、JALのマイルも貯められる、東急グループで共通のクレジットカードがある。そのあたりで、東急のグループ全体の結びつきを示している。それゆえに1位にした。
2位は京王電鉄だ。京王電鉄系列の京王ストアでは、京王グループ共通ポイントシステムを採用し、京王パスポートカードをすすめている。最近ではPASMO一体型も登場した。
3位は小田急電鉄。小田急電鉄系列のOdakyuOXでは、小田急グループ共通のポイントカードが導入され、こちらもクレジットカードと組み合わせられている。
京王、小田急ともグループ共通のため、それぞれの関連の商業施設で優待を受けることができる。なお、現金専用のポイントカードもある。
ちょっとむずかしいのが西武鉄道だ。西武は現在、系列にスーパーを持たず、沿線にある西友も、もともとはセゾングループという別のグループであり、しかもいまやセゾングループは解体し、ウォルマートの傘下にある。西友では「ウォルマートカード セゾン」というカードで大きな割引を受けられるが、このカードによって西武鉄道でおトクになるわけではない。おトクなのは「SEIBU PRINCE CLUB」という、セゾンカードでも別のカードになってしまうのだ。西武鉄道グループ、旧セゾングループは、セゾンカードを中心にゆるやかな連合体をつくっているように感じられる。
各社それぞれに事情はあるにせよ、生活圏をまるごと抱える私鉄各社には、沿線住民におトクになるようにしていただきたい。そのために、駅前スーパーを充実させ、人々のくらしを豊かにしてほしい。
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