柴崎友香原作による映画「寝ても覚めても」公開決定 書き下ろし短篇入り増補新版が発売

映像化

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 濱口竜介監督が、東出昌大を主演に迎え、芥川賞作家・柴崎友香による同名恋愛小説を映画化し、第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された「寝ても覚めても」の原作本の増補新版が6月6日(水)に発売する。

『寝ても覚めても』は、柴崎友香が2010年に発表し、第32回野間文芸新人賞を受賞している長編小説。朝子の目に映る景色をつぶさに描き出し、2人のそっくりな顔の男性の間でゆれる恋心を細やかに表現した柴崎友香の代表作である。

 このたび発売される河出文庫の増補新版は、映画の主演で麦と亮平の一人二役を演じる東出昌大と、ヒロイン朝子を演じる唐田えりかがメインとなっている映画のティザービジュアルが表紙に。さらに増補新版のために書き下ろされた短篇小説「同じ街の違う夜」がマンガとのコラボで加わる。舞台は東京、渋谷。十年前に少しの間住んでいた東京に、再び上京した主人公は、昔の渋谷の風景を思い出しながら今の渋谷の町を歩く。時間の流れで変わったもの、今も昔も変わらずその場所にある建物、目に映る景色を追いかけながら、記憶を手繰り友達との会話や出来事を思い出す。「寝ても覚めても」の中で会話の中にだけ登場した麦(ばく)の妹・米(まい)も登場し、軽やかに再出発の一歩を踏み出す短篇となっている。短篇の物語に合わせて差し込まれる漫画を描くのは、2014年に発売された文庫版『寝ても覚めても』の表紙を担当した漫画家であり、『報いは報い、罰は罰』『祈りと署名』(共にビームコミックス)などで知られる森泉岳土となっている。

 映画「寝ても覚めても」は、「ハッピーアワー」でロカルノ、ナント、シンガポールはじめ数々の国際映画祭で主要賞を受賞した監督・濱口竜介。監督自ら熱望した「寝ても覚めても」の映画化で商業映画デビューを果たし、初の世界三大映画祭への出品ながら、第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出された。カンヌでお披露目された本作は、「日本のヌーベルヴァーグ!新しい才能が現れた」と海外の記者より賛辞が送られ、「繊細で感動的。人間の魂を追求する、比類ない映画(ル・モンド)」「エレガントで深遠な愛のロンド。美しい!(レ・ゼコー)」、「濱口監督は、現代における最も重要な監督の一人だ。愛の季節を描いた『寝ても覚めても』はカンヌで栄誉を与えられるべき作品(リベラシオン)」「ニュアンスに富んだ演技が見事!(インディワイヤー)」と、海外メディアから絶賛された。9月1日(土)に全国公開される。

2018年5月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです
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